ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

ウクライナ・ロシア文化の源流といえる、ウクライナの首都キエフ。キエフには日本では知られていない魅力的なスポットがたくさんあります。

ウクライナ正教のユニークな教会、日本では考えられないダイナミックなビルディング、思わず考えさせられる博物館…。多くの人々が知らないヨーロッパへ出かけてみませんか。

今回は私の旅行経験を踏まえながら、キエフのおすすめ観光スポットを紹介します。

*編集部追記
2016年5月公開の記事に、新たに追加しました。(2017/10/31)
執筆時点での情報なので、実際に訪れた方で古い情報を見つけた方はmedia@tabippo.netまでご連絡ください。

 

そもそもウクライナ・キエフは大丈夫なの?

「ウクライナ」と聞くと「紛争で危険な場所」とイメージされる方も多いでしょう。確かにロシアが占領しているクリミア半島や、情勢が不安定な東部地域(ルガンスク・ドネツク・ハリキフ)には行かないほうがいいでしょう。それ以外の地域は全く問題なく、普通に観光することができます。

キエフに関しても基本的に治安の心配はいりません。ただ「紛争」が起きてから、東部地域の住民がキエフに流れ込んでいます。その影響で犯罪が増加しているのも事実。貴重品の管理には注意しましょう。地下鉄に乗る際、リュックを前がけにすると良いです。あらかじめ注意しておけば、スリ犯も狙ってきません。

 

世界史の教科書にも載っている定番スポット ソフィア聖堂

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photo by 新田浩之

キエフで絶対に外せないスポットが「ソフィア聖堂」。なぜなら、スラブの最古の国家「キエフ・ルーシ」の文化的中心となった教会だからです。もちろん、世界文化遺産に登録されています。ソフィア大聖堂ができたのは1037年のこと。現在の建物は17世紀後半に再建されたものですが、中は11世紀後半のものが残っています。

中に入ると美しいイコン画(宗教画)が目に飛び込んできます。ウクライナを始めとする東欧諸国のキリスト教は「正教」。「正教」は西ヨーロッパのローマ・カトリックとは異なり、ビザンツ帝国の文化を引き継いでいます。

そのため正教の教会では、キリストなどを描いた「イコン」と呼ばれる宗教画がたくさんあるのです。教会内はどこかギリシャ・アジアの文化が感じられ、西ヨーロッパの教会とは雰囲気が異なります。本当に歴史の重みを感じさせる教会です。なお、教会内の写真撮影は厳禁なので、ご注意を。

■詳細情報
・名称:ソフィア大聖堂
・住所:Volodymyrska St, 24, Kiev, ウクライナ
・アクセス:ゾロチー・ヴォロータ駅下車
・営業時間:10:00~17:30
・定休日:木曜日(冬季のみ)
・電話番号:278-67-06
・料金:55グリブナ
・所要時間:60分
・オススメの時期:冬以外
・公式サイトURL:www.sophia.org.ua 

 

洞窟内の独特の雰囲気が特徴 ペチェールスカ大修道院

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photo by Jorge Láscar

「大」と付いているだけあって、広大な敷地に様々な建物があります。時間が限られている場合は「地下墓地」だけでも入ってみましょう。地下墓地には高名な僧がミイラとなって安置されており、ミイラ化された僧は人々の信仰の対象となっています。

地下墓地の中は本当に狭く、あらゆる所に遺体が安置されています。注目点は人々の祈る姿。亡くなった僧に対して祈る姿はどこか心を打たれます。

ちなみに、正教とカトリックでは十字の切り方が異なることをご存知ですか。日本でおなじみのカトリック式の十字は右手で「上下左右」に十字を切ります。一方、正教は二本指で「上下右左」と十字を切ります。そのあたりも注目してください。

なお、女性の方は地下墓地に入る際、スカーフをかぶる必要があります。スカーフは入口に用意されていますのでご安心を。

■詳細情報
・名称:ペチェールスカ大修道院
・住所:21k12 Lavrska st Kiev、ウクライナ
・アクセス:地下鉄アルセナリナ駅からトロリーバス
・営業時間:8:00~20:00
・定休日:無休
・電話番号:280-30-71
・料金:50グリブナ
・所要時間:1時間~4時間
・オススメの時期:冬季以外
・公式サイトURL:www.lavra.kiev.ua 

 

20年の歳月を経て作られた ウラジーミル聖堂

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photo by 新田浩之

今までの教会は歴史的に価値のある教会でしたが、ウラジーミル聖堂は1882年完成の若い教会です。なんと、この教会は完成に20年の歳月を要しました。

外観はキエフにある他の教会と比べると地味です。しかし、中は地味な外観とは一転、とてもきらびやか。豪華なイコン画に目がクラクラします。騙されたと思って、ぜひお立ち寄りください。

■詳細情報
・名称:ウラジーミル聖堂
・住所:Tarasa Shevchenko Blvd, 20, Kiev, ウクライナ
・アクセス:地下鉄ウニヴェルスィテット駅下車
・営業時間:9:00~18:00
・定休日:無休
・電話番号:235-03-62
・料金:無料
・所要時間:30分
・オススメの時期:いつでも
・公式サイトURL:なし

 

キエフのお母さんみたいなスポット 黄金の門

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photo by 新田浩之

地下鉄ゾロチー・ヴォロータ駅を降り、地上に上がると大きな建造物が目に飛び込んできます。これが長年キエフを見続けてきた「黄金の門」です。

黄金の門は11世紀、キエフの市街地への入口として作られました。つまり、ここがキエフ市の境だったわけです。それから約1,000年に渡って街は膨張。今では黄金の門はビルに囲まれています。「門」とありますが、櫓のような建物です。見方によっていろいろ変化するのがおもしろいですね。

ちなみに、ロシアの大作曲家ムソルグスキーの作品に「キエフの大門」という曲があります。今でも、ロシアのラジオの冒頭部分で流される曲で有名。

キエフの歴史を知ると同時に、ロシアとウクライナのつながりも感じられるスポットです。

■詳細情報
・名称:黄金の門
・住所:40-a Volodymyrska str. Kiev, ウクライナ
・アクセス:地下鉄ゾロチー・ヴォロータ駅下車
・営業時間:10:00~18:00(5月~10月)、10:00~17:00(火曜日の5月~10月)
・定休日:月曜日と冬季
・電話番号:278-45-44
・料金:15グリブナ
・所要時間:30分
・オススメの時期:冬季以外
・公式サイトURL:なし

 

思わずぎょっとする色で驚く 国立キエフ大学

photo by 新田浩之

photo by 新田浩之

日本の最高学府は東京大学ですが、ウクライナの最高学府は国立キエフ大学です。国立キエフ大学と東京大学の間に共通点があるのをご存知ですか。両大学とも「赤」で有名なのです(東京大学は赤門で有名ですね)。ところが、国立キエフ大学の「赤」は違った意味があるのです。

キエフ大学の赤色を見ると、なんとも表現しがたい独特の色使いをしています。少し血の色にも似ていますね。本当に冬でも目立つ建物です。この赤色はロシア皇帝ニコライ1世に対して、学生が起こした徴兵拒否運動への罰なのです。皇帝は「罰」として「血の色」で塗ることを命令。

今では「血の色」のおかげで、国立キエフ大学は一躍有名になりました。

■詳細情報
・名称:国立キエフ大学
・住所:Volodymyrska St, 60, Kiev, ウクライナ
・アクセス:地下鉄ウニヴェルスィテット駅下車
・電話番号:44-239-3333
・オススメの時期:いつでも
・公式サイトURL:http://www.univ.kiev.ua

 

激動のウクライナ現代史の舞台となっている マイダン(独立広場)

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photo by 新田浩之

記憶に新しい2013年のヤヌコビッチ大統領(当時)へのデモ。マイダンには多くの人々が集まり、政府に対して抗議活動が行われました。やがて、デモは騒乱に発展。マイダンで多くの人々が亡くなったのです。

現在では、マイダンは平和そのものですが、亡くなった人々の写真や花が飾られています。もちろん、政治スローガンも。「戦争」や「平和」に対して思わず考えてしまうスポットです。

マイダンのおすすめ時間帯は夜。ライトアップが美しく、幻想的な光景が広がります。

■詳細情報
・名称:マイダン(独立広場)
・住所: ulitsa Institutskaya, Kiev, ウクライナ
・アクセス:地下鉄マイダン・ネザレージュノスチ駅下車
・オススメの時期:夜間
ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

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