ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

映画のセットのようで落ち着く地区、カジミエシュ地区

Photo by Nitta Hiroshi

かつてクラクフには多くのユダヤ人が住んでいました。彼ら・彼女らの生活が感じられる地区がカジミエシュ地区です。この地区にはユダヤ人商店が再現されています。実際に映画『シンドラーのリスト』のロケ地としても使われました。

Photo by Nitta Hiroshi

ユダヤ博物館の中にはユダヤ教の宗教施設、シナゴーグがあります。キリスト教の教会よりもロウソクが多く、エキゾチックに感じるのは私だけでしょうか。なかなか言葉では言い表しにくい独特の雰囲気に満ちています。

Photo by Nitta Hiroshi

よくガイドブックを見ていると「カジミエシュ地区=おしゃれカフェ」のような紹介をしています。間違いではありませんが、個人的におすすめしたいのはユダヤ人墓地。観光地にも関わらず落ち着いた雰囲気、そして爽やかな風が通り過ぎます。

ユダヤ人は墓石に花の代わりに石を置きます。墓石だけとっても、ユダヤ人の習慣が学べる興味深いエリアです。

ユートピアを目指してつくられた地区がある?

Photo by Nitta Hiroshi

戦争でも生き残ったクラクフ旧市街でしたが、ピンチを迎えた時もありました。それが、第二次世界大戦後の共産主義時代です。「労働者の代表」を自認する共産主義政権にとって、ポーランド王・貴族のシンボルであるクラクフ旧市街はおもしろくない存在。

かといって、ダイナマイトやブルドーザーで破壊するわけにはいきません。そこで思いついたのが旧市街の近くに新たなユートピアをつくり、旧市街を衰退させるという作戦でした。

それが旧市街から路面電車で行ったところにあるノヴァ・フタ地区です。1950年代に製鉄所と団地がセットで建てられました。このような長細い建物が目立ちます。歩いていると日本では味わえない圧迫感があります。

Photo by Nitta Hiroshi

しばらく歩いていると鉄鋼コンビナートに着きました。ここから先は入れません。製鉄所からはモクモクとした煙が出て、煤煙が旧市街に降りかかることに。もちろん、当局は無視しました。

Photo by Nitta Hiroshi

ユートピアを目指したノヴァ・フタでしたが、現実は居住空間の悪さから治安が一気に悪化。共産主義政権の崩壊により、反対に衰退することになりました。かつて、ここにはレーニン像があったそうです。現在はきれいに撤去されています。結局、ノヴァ・フタはクラクフ旧市街に勝ってなかったということです。

ノヴァ・フタへのアクセス方法は旧市街近くにある電停「Teatr Bagatela」から4系統に乗り「Kombinat」下車。所要時間は約30分です。

クラクフ旧市街は1人でも大丈夫!ノヴァ・フタは現地ツアーがおすすめ

クラクフ旧市街は1人でも安心して観光できます。中央駅からも近いですし、旧市街にはホステルからホテルまでさまざまな宿泊施設があります。観光客が多いので、スリには気をつけましょう。

一方、最後に紹介したノヴァ・フタは現地ツアーで訪れることをおすすめします。筆者は2011年に訪れましたが、看板や地図が少なく観光するのに苦労しました。また、同じような建物が続くので迷います。迷子対策のためにも現地ツアーで訪れましょう。

また、地元の人にノヴァ・フタを訪れたことを伝えると「あそこは危険だよ。よくあんな所に行ったね!」と言われました。筆者は危険を感じませんでしたが、念のため訪れる際はご注意を。

ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

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