ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

こんにちは。フォトグラファーの相沢亮です!

この夏に、TABBIPOさんと初めて長野県の乗鞍(のりくら)高原の旅をご一緒させて頂きました。

夏の乗鞍岳乗鞍高原:長野県と岐阜県の県境に位置する、標高3,000m級の山々が連なる、山岳地域の総称
その際、旅をご一緒するメンバーに初めて聞く言葉「POOLO」という単語が。

調べてみると、TABBIPOさんが運営する「2030年の観光業界を担う次世代リーダー養成スクール」というパワーワード。こんなわくわくするようなメンバーとご一緒できるなんてなかなかない機会。

乗鞍高原とPOOLOメンバー
そんなメンバーと共にする旅のテーマは、「サステイナブル」。直訳すると「持続可能な」という意味です。

自然環境への配慮やその土地に根付く文化の維持という観点から持続可能な観光を提案、発展させようという近年注目されている観光のあり方です。

今回は、おもに乗鞍高原の自然の魅力をお伝えできればと思います。

乗鞍までの道のり、奇跡を導いてくれた恵みの雨

夏の乗鞍高原
じつは、乗鞍に行くのは初めて。出発地は新宿で、電車とバスを乗り継いで片道4時間くらいでした。

今回、以前から知り合いの「旅する喫茶」を運営するtsunekawaさんとゲスト参加したのですが、僕たち以外のメンバーは、ほとんど顔見知りでほぼアウェー。ワクワクとドキドキゆえに、その時間の記憶はほとんどないです。

いってみれば、中学2年という微妙な時期に転校した中学生の気分。

この気持ち、身内だけで行く旅では決して味わえない久しぶりの感覚で、初対面の方々に緊張とするという気持ちがまだ自分の中に残っていたことに驚きました。

乗鞍高原の記憶
そして、とうとう目的地の乗鞍高原に到着。

20分前まで晴れていたのにバケツをひっくり返したかのような大雨。到着日以外の滞在日の予報はすべて晴れだったので、「せっかくだから雨の日の乗鞍も体験しろ」いう神様のお告げだということにして自分を戒め、宿である「ゲストハウス雷鳥」を目指しました。

ただ振り返ってみると、この雨が明日の登山で思いがけない奇跡を引き起こしてくれたのだと思う出来事がありました。

「ゲストハウス雷鳥」での出会い、緊張の瞬間

バス停から6分程歩くと、ゲストハウス雷鳥に着きました。

着いた瞬間、雨からの開放感を得て、改めてTABBIPO代表の清水さんと初対面なのだなと思い、どの方だろうと探していると優しそうな男性の姿を発見。

転校初日でも、「担任の先生が優しければどうにでもなる」と感じていたので、とりあえず安堵。社長が優しかったので安堵。

夏の乗鞍高原
そして、全員と軽く挨拶を済ませた後、今回の旅の説明。

明日は、登山しますという予定表を改めて確認。「POOLO」のメンバーの方々とも軽くお話させて頂きましたが、みんな世界で旅の経験があり面白い経歴、挑戦している方々でした。こんなメンバーと切磋琢磨して情報交換できる環境、素直に羨ましい。

乗鞍岳への初登山、初心者の僕が感じることができた標高3,026mの雲の上の世界

乗鞍でやりたいことで、最初に思い浮かぶのが乗鞍岳への登山。

長い歴史の中、地元の方々を始め沢山の方々に守られてきた乗鞍の自然たち。

その自然にお邪魔させていただけるという、今回の旅でのもっとも楽しみにしていた企画の一つ。その守られてきた自然と登山の魅力をお伝えしていきます。

登山開始

乗鞍岳登山
初心者なのに、最初聞いた時3,000m超えの山に登れるか?のという疑問を抱きました。なので、出発3日前から、体力を戻すために走り込みをこっそり始めていました。

「登山の途中でギブアップしたら。写真家として今後山の仕事絶対来なくなる」。

そんな精神的な追い込みを自分にかけて、登山に臨みました。

乗鞍岳登山
バスで約2,700m超えの地点まで向かうということも聞いていたので、そんな手段を使いながらギブアップはできないとさらに追い込みました。

いざ開始してみると、非日常の山々の景色の美しさに足が軽いように進む。「これは走り込みのおかげでない、気分が上がっているからだ」。そんな山の魅力に惹かれるように、どんどんと上を目指しました。

山での出会いが気持ちを引き締めていざ登頂へ

ただ山は、やはり甘くない。さすがに途中疲れてきた。

優しいTABBIPO社員の方々に励まされつつメンタルを回復。休憩、登山を繰り返し頂上を目指しました。

休んでいると思いがけない出会いが。中学生が、学年全員で担任の先生の引率されながらクラス単位で登山しているのです。

乗鞍岳登山
「えっ!中学生が登っている。弱音吐けない」。中学生との出会いが気持ちを鼓舞しました。しかもみんな涼しそうに体操着で。「全国登山先発中学生」とかでない!その見た目から直感しました。

「普通の中学生が、3,000m超えの世界を体験できる山。乗鞍岳ってすごくない?」。

登山の疲れからか、道中の語彙力がだいぶ落ちているが、それが頭に思い浮びました。
早く頂上へ、気持ちを引き締め向かいました。

乗鞍岳登山
雲の上の頂上へ。この達成感は、登った人にしかわからない。

語彙力低下の影響からか、そんなどこかの広告で聞いたようなワードを心に留めて絶景を楽しみました。

写真家は、そんなときにカメラ、写真で魅力を伝えることができます。

頂上の雲の上の世界の写真が以下のようなものです。

乗鞍岳登山
目の前に雲が通り、自分が雲に包まれていく。そんな感覚。

そんな特別感からか登山による疲れが吹っ飛びました。

国立公園で雷鳥の雄、雌、雛とコンプリート。あの初日の大雨は、きっと出会いを導くフラグだったはず

登山の前に、絶滅の危機にあり特別記念物である雷鳥との出会いを求めて、中部山岳国立公園内を案内してもらいました。

雷鳥の正式名称は「ニホンライチョウです」。高山に住む氷河時代からの生き残りで、その名の通り荒天の時によく見かけることのできるそうです。

道中晴れているからどうかな、という声を聞いていたのですが、運よく雄、雌、雛と出会えました。

乗鞍高原の雷鳥 雌
昨日の大雨のおかげかもと地元の方から聞き、あの雨は、天の恵みだった、戒めでなかったと解釈しました。

可愛い雷鳥の写真です。

乗鞍高原の雷鳥 雛
走っている雄の雷鳥を流し撮りました。

乗鞍高原の雷鳥 雄
乗鞍は、環境省の方々が雷鳥の保護、繁殖に取り組んでいてそれが成功している地域。

観光として訪れる自分たちができることは、この自然を荒らさないこと。そして、この雷鳥の繁殖が上手くいくことが乗鞍が目指すべきサステイナブルのひとつの形と思いつつお別れしました。

ちなみに冬は、雪のように白い体毛の姿になるそうです。見てみたいです。

乗鞍で出会った美しい自然の数々を写真で振り返る

夏の早朝に出会える善五郎の滝の虹

乗鞍高原 善五郎の滝
乗鞍高原 善五郎の滝と虹
乗鞍に行ったのは、7月の中旬。滝に光が綺麗に入る時期にのみに見ることのできる特別な景色です。

撮影時間は朝の7時30分。

朝からマイナスイオン全開に浴びたいそんなときにおすすめのスポットです。水しぶきでびしょびしょになるところまで近寄ることができます。

宿を出て10秒で見れた天の川。標高1800mの空気が済み、光害を感じない場所だからこその星空が広がっていた

乗鞍高原の夏の星空 天の川
ゲストハウス雷鳥の窓を開けて、夜空を見上げると星が綺麗で、もしかしたら天の川の撮影をすることができるのではないかと思い立ちすぐ外に出ました。

10秒くらい歩き、開けた場所に到着。方角的に「山里料理の宿・あずさ館」の前あたりまで来ました。普段電気のついている宿の真上の星空が美しく撮影できることは、あまりないのですが、この時は撮影に成功しました。

乗鞍という場所は、特別なスポットに行かなくても空を見上げたらきれいな天の川を見ることができる。そんな場所です。

紅葉の時期に来たくなる、秋の想像を膨らませる木々のリフレクションが素敵なまいめの池

夏の乗鞍高原 まいめの池
池に向かうと、想像を超えた木々のリフレクションの世界が広がっていました。

グリーンシーズンの夏ももちろん素敵ですが、これは秋の紅葉シーズンに来たくなりますね。ちなみに乗鞍高原の紅葉シーズンは、10月中旬かららしいです(山頂部分は、9月下旬から)。

光が射す神秘的な千間淵で過ごす昼下がりの特別な時間

乗鞍高原 千間淵
乗鞍高原 千間淵
「昼に行くと光が神秘的ですよ」と地元の方々。連れて入ってもらうとそこには、ジブリの世界のような神秘的な世界が広がっていました。

真夏で暑さをしのげる場所を求めていたタイミングでここに行く予定を立てる方々に感服しつつ、ゆっくり休みました。

ありのままの自然が残っているからこそ、こういう素敵な場所あるのですよね。この場所の木を何本か切るだけでも、この光のバランスが崩れると思います。いつまでも残したい景色、そんな場所です。

旅の写真と記憶の振り返り

乗鞍高原の記憶
乗鞍高原の記憶
乗鞍高原の記憶
乗鞍高原の記憶

あとがき、旅の終わりに

写真とともに乗鞍の自然の魅力を伝えてきましたが、いかがでしたでしょうか。

東京に暮らしている自分にとって、長い間大事にされてきた自然の残る場所に行くことは、つねに新しい出会いを提供してくれます。そして現在、その自然と触れ合うことができるのは、過去からその魅力、姿を維持してくれた方々のおかげです。

今、目の前に広がる自然を守り続けることは、大事にされてきた過去からのバトンをつなぐようなことだと感じています。

観光で沢山の方々にその魅力を伝わればいいなと思いつつ、過去からつながれたバトンがつねに自分の手元にあることを意識し、そのバトンをいい形で未来へつなごうとすることが、サステイナブルな観光の捉え方の第一歩なのではと感じました。

All photos by Ryo Aizawa

ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

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