『TOMORROW パーマネントライフを探して』
新しいライフスタイルを探して、女優メラニー・ロランが世界中を旅する映画。私たちがこのままのライフスタイルを続けたら人類は滅亡してしまうという論文を読んだロランは、世界を救う方法を探すために、ジャーナリストの友人シリル・ディオンと旅に出ることにしました。
そして3年もの月日をかけて、ヨーロッパやアメリカ、インドを旅しながら、地球で起きている様々な問題を解決する方法を探していきます。
「パズルを組み合わせるように新しい物語を作ろうとした」とロランが言うように、食べ物、エネルギー、経済、民主主義、教育というそれぞれのテーマがパズルのピースになって、映画全体をひとつの物語として結びつけていきます。
映画の中で、自分の家や道に野菜を植え始めた運動が賛同者を得て、国外にまで広がっていく様子が描かれています。「地球を救おう」と大きく考えるのではなく、まずは身近な場所に関心を持ち行動を起こすこと。
それぞれが自分に問いかけ、その問いの答えを導き出していくことで、一人の小さな一歩が大きなムーブメントになるのだと感じることができました。
『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション真の代償』
2013年、ダッカ近郊の衣服生産工場が倒壊して1,100人以上が亡くなりました。ファッション業界の裏側に迫ったこのドキュメンタリー映画は、そのときの事故がきっかけとなり制作されたもの。「服に対して本当のコストを支払っているのは誰か?」という問いと共に、世界中で大きな反響を呼びました。
ファッション業界が環境に与える負荷は石油業界に継いで2番目に大きいのだそう。ファストファッションブランドが登場したことで服の価格は著しく安くなりましたが、それと反比例するように、インドやバングラデシュなどの衣服生産現場やその周辺で起こる環境汚染によって高い代償を支払っている人たち、苦しみ続けている人たちがいるという現実を私たちは知っておかなければいけません。
工場で働く女性はこう言います。普段私たちが身につけている服がどこでどのように作られているのかに関心を持ち、「誰も傷つけない選択」をすることが私たち消費者の責任なのだと考えるきっかけになる映画です。
『TRASHED ゴミ地球の代償』
世界各地のゴミ廃棄場や焼却炉、汚染物質の埋め立て地、太平洋のゴミベルトなどに足を運び、その土地に住む人たちの声や専門家の意見から、環境への深刻な問題を明らかにしていく映画。ガイド役を務めるのは、アカデミー主演男優賞を受賞した俳優ジェレミー・アイアンズ。
たとえば、インドネシアのジャカルタにあるチウリン川ではゴミや動物の死骸などがたくさん捨てられ、140万人もの貧しい人たちがその川で洗濯や水浴び、汚染された水を飲み水としても使っている姿が映し出されます。
他にも、レバノンの古都サイドンで、かつては美しかった地中海がたった30年で有毒廃棄物に埋め尽くされ、今でも汚染され続けているという現実が語られていました。
大量生産・大量消費・大量廃棄が生み出したこのような問題に悲観したくなりますが、この映画では、最悪な状況を目の当たりにしながらも、廃棄ゴミの75%のリサイクルを実現しているサンフランシスコの事例を紹介するなどして、希望を捨てず解決する方法を探し求めていきます。
自分で考えて選ぶということ
どの映画にも共通しているのは、なんとなく選ぶのではなく「自分の頭でしっかりと考えて選択し行動する」ということ。
モノやお金に支配さない本当の意味での豊かな人生を送ることと、世界で起こっている様々な問題に目を向けて解決策を考えることは、決して別の話ではなく密接に繋がっているのだとわかります。
この記事を読んでくださった方が、サステイナブルな人生や社会を考えるきっかけとなれば嬉しいです。
All photos by hoshi maaya