この記事では、四角大輔さんとTABIPPOが一緒に作り上げた話題の新書籍、「The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅」の中から、旅のエピソードを抜粋して紹介していきます。
今回ご紹介するのは、LGBTメディアの運営者・太田尚樹さんのエピソードです。
人生を追求する14人の「時代の疾走者たち」による原体験
自分らしい生き方をつくる「手段」として旅がある!「人生」を追求する14人の“時代の疾走者たち”による「原体験」としての「旅」のストーリーをまとめた一冊。「旅に出て人生は変わるのか?」をテーマに、高橋歩、山川咲、西野亮廣、村上萌×著者(四角大輔、TABIPPO)とのスペシャル対談も収録。
「The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅」は「自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと」の著者、四角大輔さんと長い時間をかけて一緒に作り上げた、話題の新刊であり「旅」と「生き方」をつなげる1冊となっています。
旅に出ると視野が広がり、自分がいかに狭い世界で生きていたかを思い知らされる時があると思います。
旅とは何か?自分はこれからの人生をどうやって生きて行きたいのか?この本を読んで今一度自分の心に問い掛ける時間を作ってみてはいかがでしょうか。
「コンプレックス」を吐き出すことができた旅|太田尚樹/ LGBTメディアの運営
高1の時、初恋と共に、自分がゲイだと気づいた
高1の時、ずっと親友だと思っていた男友だちに対して、自分は恋をしていると気づいてしまった。それは彼から「彼女ができた」と報告を受けたときのこと。一緒に大喜びするべき場面で、なぜか無性に悲しくて、少し考えて「たぶんこれは恋ってやつだ」とハッとした。初恋と、初の失恋が一緒にきた。
気づいた直後、あまりのショックで心が暗闇に沈んでいく中、「あ~、そういうことか」と妙に納得感もあった。それは、彼から恋の相談を受けている間、誇らしいと共に、どこかでつらい気持ちがずっとあったから。僕は、気づかないふりをしていたのだと思う。
この日から4年間、だれにも言わずに彼に片想いを続け、そして長い間、心を暗闇から引っぱり出せなくなった。
自分らしく生きる勇気も知恵もない だからとにかく、旅に逃げた
photo by 早乙女麗
そして21歳の終わりごろ、学校からの帰り道で、違和感が突然爆発した。「あぁ、もう全部から逃げ出したい!旅に出たい!」と思った。
これまでずっと肩に積み上げてきた荷物を全部一旦置きたい。そんなことをしても「自分の人生」が見つかるわけではないとわかっていたけれど、でももうこの荷物は持っていられない。身軽になりたい。
「だれも僕のことを知らない場所で、ちゃんと自分を見つめたい」、そう思った。
そして多くの選択肢を吟味し、ピースボートに申し込むことを決めた。短期間でたくさんの場所に行けること、そして船内に充実したワークショップがあり、普段考えないことを考える機会に恵まれていること、その2つが決め手となった。
約80日という短期間で世界を船で一周するため、ピースボートは、各寄港地で過ごす日数よりも、海の上にいる日数の方が長い。11階建ての船内は充実していて、バーやシアターホールがあり、体を動かせるようにスポーツジムやプール、バスケットコートもあった。部屋は、僕が利用した一番安いプランだと、ランダムに決められただれかと2~4人で相部屋になる。
目の前に広がる雄大な海、スタッフも合わせると1000人ほどいる見知らぬ人との共同生活…出航直後は、結局意気込んだほどうまく肩の荷をおろしきれず、大きな環境の変化に露骨に戸惑い、筋トレをしたり、本を読んだり、周囲のお祭りムードから離れて過ごす、という微妙なスタートを切ってしまうことになった。
旅は、霧のような雑念を晴らしてくれる
photo by 早乙女麗
旅は雑念を晴らしてくれるものなのだと思う。僕の中にずっとあった「大切な人に本当の自分を知ってほしい」という願望は、日本では濃い霧に覆われていたけれど、そのときはもう、くっきりと見えるものになっていた。