プリトヴィツェ
ライター

1995年秋田県生まれ・千葉県育ち。日本47都道府県、世界40ヵ国を訪問。新卒で不動産会社に就職し、新卒採用と営業を経験。退職後はワーキングホリデービザでデンマークに1年2ヶ月、ベルリンに6ヶ月滞在し、現在はヘルシンキ在住。"旅するスパイスカレー屋"を世界中で不定期開催しています。

2024年7月。

クロアチアの首都、ザグレブの空港に降り立った。

私はデンマークから、3人の友人は、はるばるオーストラリアとアメリカという遠く離れた地から、海を超えてやってきた。

クロアチアは、私の「行きたい国ランキング」の上位に、長らく居座り続けていた国。しかし「せっかく行くなら夏の海がきらめくシーズンに行きたい」という想いがあったためタイミングが合わずなかなか実現せずにいた。そんな念願の旅が、ついに今回叶った。

レンタカーを借りて、自分たちのペースで自由気ままなロードトリップ。

車に飲み物やスナックを持ち込み、プレイリストを決めて出発!道すがらにたまたま素敵な街を見つけたら気のむくままにちょっと寄り道。

そんなロードトリップは、私の大好きな旅のスタイルだ。

ルート紹介

1日目 ザグレブ集合
2日目 ザグレブ→プリトヴィツェ湖郡国立公園→ザダル→スプリト
3日目 スプリト街歩き
4日目 スプリト:ボートツアー参加
5日目 スプリト→ドブロブニク
6日目 モスタル(ボスニア・ヘルツェゴビナ)日帰り
7日目 ドブロブニク

旅のハイライトはプリトヴィツェ湖群国立公園とドブロブニクの絶景街歩き。そしてスプリトでのボートツアーでアドリア海のバカンスを満喫できたのが、何よりの思い出に。

ザグレブから念願のプリトヴィツェ国立公園、夕焼けの街ザダル、そしてスプリトへ

ザグレブで友人たちと久しぶりの再会を果たし、さっそく街を散策する。

ここは街の中心地、イェラチッチ広場。そういえばカタールW杯シーズン、クロアチア代表選手は名前が「チッチ」で終わる人ばかりだと話題になっていたことを思い出す。


ザグレブは繁華街こそきらびやかだったが、郊外へ少し車を走らせると街並みは一気に変化を見せる。とくに印象的だったのは、老朽化の進んだ建物が多く、それらが修繕されることなくそのままの姿で使われていることへの驚きだった。

今にも朽ちてしまいそうな建物にも、洗濯物が干されており人が住んでいる気配が感じられるのだ。その様子を見て、私はハンガリーやチェコなどの東欧諸国で感じた空気感を思い出した。

車窓から見えたザグレブ郊外の建物の古びた建物たち
あとで地図で見てみると納得。クロアチアはハンガリーの南に隣接する国だった。イタリアに近い、というイメージが強かっただけに、実際に訪れてみてわかった東欧らしさは新鮮な発見だった。

ザグレブから車を走らせること約2時間、プリトヴィツェ湖群国立公園に到着。1979年にユネスコの世界遺産に登録された国立公園だ。



7月中旬のクロアチアは気温が高く、ヨーロッパにしては珍しく湿度も高い。

しかし国立公園内に足を踏み入れると、生い茂る木々のおかげで太陽の光はやわらかく遮られ、驚くほどひんやりと気持ちよかった。


そして何よりも目を奪われたのは、美しいエメラルドグリーンの湖と無数の滝。どこを歩いても目に飛び込んでくるエメラルドグリーンの色彩が、視覚的に癒しを与えてくれた。


木製の遊歩道を歩きながら、何度も立ち止まっては写真を撮り、深呼吸してその美しさを心に刻んだ。

photo by Kimiko Yamamoto
大きな滝の前には写真を撮るための行列が
たっぷり4時間半ほどプリトヴィツェ湖群国立公園で過ごしたあとは、「世界一夕日が綺麗に見える」と言われるザダルへ車を走らせた。

ザダルはアドリア海に面する美しい港街。サッカークロアチア代表のレジェンド、モドリッチ選手の故郷としても知られている。

モドリッチの名前入りユニフォームを着て歩く老若男女の姿があちこちで見られ、いかに国民に愛されているかが伝わってくる。クロアチアの国旗にも描かれている赤と白のチェック柄を身につけている人も多く、クロアチア人の愛国心を感じる瞬間でもあった。

「世界一夕日が綺麗に見える」と言われるザダルの夕焼け
photo by Aaron Cruz

太陽が沈む時間になると、夕焼けスポットである海辺には多くの人が集まり、賑わいを見せていた。

私たちも美しい夕焼けをのんびりと眺めながらリラックスした時間を過ごした。


そのまま本日の宿があるスプリトまでドライブ。ヨーロッパの夏は日が長いおかげで1日が長く感じられるのが嬉しい。

スプリトのボートツアーでバカンスを満喫

スプリトに到着した翌日は、街をブラブラ散策。

スプリトは陽気でパリピな雰囲気。夜中までナイトライフを楽しむ人々が多く、活気溢れている。

街中にユネスコの世界遺産に登録されているエリアがあることもあり、特定の公共の場で寝ることが禁止されているようで、罰金150ユーロ(約24,000円)との看板も目にした。

暑いのでジェラート屋には行列が。1日1ジェラート摂取の毎日
photo by Kimiko Yamamoto

アメリカ人の友人がマクドナルドに行きたいというので、「アメリカ人だな〜」と思いつつ付いていくと、この景色が。


ショッピングモールのフードコートからこんな絶景が見れるとはなんとも贅沢。荒々しくもゆったりと構えているような山々に目を奪われる。「山の麓の街」というだけでなんだかカッコいい。

山々と海のコントラストも美しい

スプリト2日目はボートツアーに参加してスプリトから少し離れた島々へ小旅行。

小さなボートにガイドさんと、合計12人の参加者が乗り込み出発。かなりのスピードで波しぶきをあげながら進むボートはスリリングで楽しかった。

自力では行けない青の洞窟へ行ったり、ボートから海に飛び込んで遊んだり、これでもかというほど夏の海を満喫することができて大満足。

普段はツアーに参加しないことが多いけれど、「せっかくだから参加しよう!」と提案してくれた友人たちに感謝。

青の洞窟。無加工でこの青さ!
船が浮いて見えるほどの透明度
Hvar(フヴァル)という小さな島にて

憧れのドブロブニクの街並みに感動

スプリトで3泊過ごしたあとは旅の最終目的地、ドブロブニクへ。

ドブロブニクへの道すがらでランチを取ることに。google mapsで近くを検索してみると、初めて名前を聞く小さな街だけれど、美味しそうなレストランをいくつか発見したのでOmiš(オミシュ)という街で休憩することに決めた。

ドライブの道すがら立ち寄った小さな街、Omiš(オミシュ)
ランチに食べたタコとポテトのグリル料理。見た目の通り最高なお味!
こうした気になるスポットにふらっと寄れるのがロードトリップの醍醐味。

オミシュは、街のすぐ背後に迫るゴツゴツとした岩山がとにかく印象的で、そのワイルドな風景にすぐに心を奪われた。知らずに通り過ぎてしまうにはもったいない、そんな魅力を秘めた街だった。

21時ころドブロブニクに到着すると、ちょうど日が落ちて暗くなり始めたころだった。多くの人が街に出ていて活気のある雰囲気だ。

ドブロブニク
建物の角を通り過ぎるたびに、雰囲気の良い小径が目に飛び込んでくる。テラス席がひときわ賑わうお店で食事をすることに決め、小径の階段に座って順番を待つ時間も心地よかった。

ドブロブニクphoto by Kana Okuyama

ドブロブニクといえば、オレンジの屋根が立ち並ぶ旧市街を上から見た景色。青い海に浮かぶ様子はとても美しく、「アドリア海の真珠」と呼ばれるのも納得。

「海がきらめくシーズンに行きたい」と思い続けて、実際に来ることができて本当によかったと感じながら絶景を目に焼き付けた。

ドブロブニク「アドリア海の真珠」と言われるドブロブニクの街並み
photo by Kana Okuyama

ドブロブニクスルジ山の上のレストランは絶景だったが完食できないほど塩が効きすぎていたのが残念

ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルへ日帰り旅

ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルは、ドブロブニクから車で約2時間の距離にあるため日帰り旅行にぴったり。

ボスニア車で国境越え。奥に見える青いゲートが国境。ドキドキしたけれどパスポートを見せてあっさり通過。
モスタルは、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で大きな被害を受けた街のひとつ。街のシンボルである「Stari Most(スタリ・モスト)」(日本語で「古い橋」)と名付けられた橋も、紛争中の1993年に破壊されたそう。2004年に再建し、翌年2005年に国内初めての世界遺産として登録されたという歴史を持つ。

その橋を見たくてモスタルを訪れたが、この日の気温はなんと42度。強い日差しが容赦なく照りつけ、外に出ていられるのは30分がやっと。涼しい室内で休憩を挟まないと倒れてしまいそうな気候だったので、少し見てあっさりと切り上げてしまった。

7月中旬のこのエリアの旅行は、暑さ対策が必須だと声を大きくして伝えたい。

ボスニア世界遺産に登録されている「古い橋」エリア
ボスニア紛争中の銃撃の跡が残った建物が現存している
モスタルにはオスマン帝国時代の影響が色濃く残っており、お土産屋さんに並ぶ商品はトルコを旅したときに見たことがあるものばかりで懐かしい気持ちになった。クロアチアとは全く違った雰囲気を楽しめるので、良いアクセントの小旅行となった。

6泊7日、心に刻んだアドリア海の記憶

スプリト
クロアチアを6泊7日かけて駆け抜けた今回のロードトリップ。

旅の間ずっと感じていたのは、自然の豊かさ、歴史ある街並み、そして美しい海。どこを切り取っても印象的で、思わず写真に収めたくなる瞬間の連続だった。

何より、自由気ままなロードトリップだからこそ出会えた景色や偶然の発見も、この旅を特別なものにしてくれた。

この国の景色も空気も、もう一度全身で味わいたい。そう思える旅だった。

Photos by Yurie Shiba

ライター

1995年秋田県生まれ・千葉県育ち。日本47都道府県、世界40ヵ国を訪問。新卒で不動産会社に就職し、新卒採用と営業を経験。退職後はワーキングホリデービザでデンマークに1年2ヶ月、ベルリンに6ヶ月滞在し、現在はヘルシンキ在住。"旅するスパイスカレー屋"を世界中で不定期開催しています。

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