ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

こんにちは、フォトグラファーの相沢亮です。

今回の旅先は、北海道・阿寒摩周国立公園です。

このエリアで過去に2回、秋・夏に“サステイナブル”をテーマに旅をしましたが、今回待ちに待った冬に訪れることが叶いました。

▼過去に実施した「阿寒摩周サステイナブルキャンプ」の様子
圧倒的な大自然とアイヌ文化が根付く暮らしに触れる、北海道・阿寒摩周サステイナブルキャンプ
北海道・阿寒摩周で過ごす“サステイナブル”な旅!「背伸びをしない観光価値」の再発見

冬の北海道といえば、雪降る白銀の世界のイメージ。東京在住、埼玉生まれの自分にとって、雪はたまに降る非日常の景色。

雪が身近にある暮らしには、小さい頃から憧れがあったので、今回の冬の北海道の旅は、本当に楽しみでした。

全国で姿が変わり続ける場所が多い中、阿寒摩周の自然は、変わらずにその魅力的な姿が守り続けられています。

今回も写真とともに阿寒摩周国立公園の魅力をお伝えできればと思います。道東の冬の暮らしにお邪魔してきました。

目の前に広がる白銀の世界、冬の自然に触れる

早朝の釧路川源流カヌーツアー


始めにご紹介するのは「屈斜路ecoツアーズ」さんによる釧路川の源流を下るカヌー。今ある自然と共生し、楽しむことができるアクティビィティです。

スタート地点は、屈斜路湖。屈斜路湖は、国内最大のカルデラ湖で、水源の8割が湧き水という高い透明度の美しい場所です。

釣りをすることができますが、訪れる方々のゴミの持ち帰りの意識がしっかりしており、透明度が維持され続けています。

まずは、屈斜路湖から釧路川を目指します。冬の阿寒摩周エリアは、写真の通り、一面白銀の世界。この日も雪が降っていました。

雪が降る中での川下りは初めての経験です。春夏秋冬で違った景色を見せてくれますが、冬の魅力のひとつは、その静けさだと思います。



早朝の雪が降り積もる中、川のせせらぎが聞こえ、耳を澄ますと聞こえるのは鳥のさえずり。下っていくと少しずつ、自分が自然の中に溶け込んでいくような感覚がありました。

自然の中で騒音から距離を置くことができるのが道東の魅力だと改めて、感じました。


透明度の高い川には、小魚などが住んでいます。


川下りの後には、オリジナルのハーブティーをいただきました。

photo by 屈斜路ecoツアーズ

アイヌの暮らしに欠かせないイオルの森。スノーシューを履いて、雪の上へ


アイヌの精神に触れるツアー「森の時間 〜森と生きるアイヌの精神に触れる旅〜」に参加し、スノーシューを履いて森の中へ。この日は、大雪でしたが、スノーシューを履けば雪に埋もれずに歩くことができます。初めての参加者もふわふわの新雪の上をスムーズに歩くことができました。

森に入る際は、アイヌの方々が行う森の挨拶から。昔ながらの祈りの儀式を行います。


アイヌの方のお話を聴きながら森を歩きます。

大雪の日にこんなに大人数で声が届くのかなと思われるかもしれませんが、離れた場所でもお話を聞くことができるイヤホンをセットして歩くので安心です。


イオルの森は、昔ながらのアイヌの方々の生活にとって、欠かせない場所。食糧、衣類、道具は、森から得られた恵でカムイ(神)からの授かりものです。

森にまつわる伝承や動植物の知識、アイヌの方々の価値観など現代に生きる学びをたくさん聞くことができました。

個人的に心に残っているのは、うさぎときつねの昔話とイオマンテのお話です。気になる方は、ぜひ直接聞きに行ってみてください。


アイヌの楽器「ムックリ」をみんなで演奏しました。

この楽器、紐を引いて、振動させることによって音を奏でるのですが、初めてだと難しいのです。コツを聞いて、徐々に音がでるようになりました。

アイヌの暮らしの中で、動物の鳴き声を表現したり、伝統的な歌や踊りの伴奏としても使われています。

森を歩くことを通じて、アイヌの方々の暮らしに触れ、自然との共存方法、自然への感謝の姿勢を学ぶことができました。

自然と一体化する穏やかな時間を。阿寒湖モーニングカフェツアー


早朝の5時30分に起きて、「TSURUGA ADVENTURE BASE SIRI」さんによる阿寒湖畔でのモーニングカフェツアーに参加。

阿寒湖は、約15万年前の噴火によってできた北海道で5番目に大きな湖で、特別天然記念物の「まりも」が生息しています。

そんなこのエリアを象徴する場所へ早朝に向かいます。日の出前で、まだ外が薄暗いなか出発です。


しんしんと雪が降る森に向かいます。足を進めるごとに自然に溶け込んでいく感覚があり、アイヌの方々が言葉にした「自然との共存」は、この感覚が入り口なのかなとふと思いました。

歩いた後は、至福のカフェタイム。氷点下の白い世界で飲む温かいコーヒーは、最高に身に染みました。


さらに気温が下がると、湖が凍り、その上を歩けるようになります。真冬の凍った湖で見ることができるのが、アイスバブルやフロストフラワーのような自然の神秘的な瞬間です。


ふわふわの新雪にダイブしました。


ガイドさんの鳴き真似に呼び寄せられるように、目の前まで白鳥が遊びに来てくれました。運良く、少しだけ晴れ間が見えて湖が淡いピンク色に染まる瞬間にも出会うことができました。


最後は、集合写真。氷点下の早朝なのにこの笑顔。楽しい朝活でした。

阿寒摩周エリアの暮らしや文化を学ぶ

川湯ビジターセンターで自然を学ぶ


川湯ビジターセンター」では摩周地域の自然、動物について詳しく知ることができます。摩周湖の成因や地形、動植物の生態系を中心にそれぞれ興味のある分野について勉強しました。


館内は、木の温かみのある開放感のある造りで暖炉のあるラウンジや2階の喫茶スペースなど旅の合間の休憩にもぴったりな場所です。


変わりゆく川湯温泉川を見学


川湯温泉の中心を流れる川へ。過去には、空き缶や瓶などのゴミを捨てる人が多かった場所ですが、阿寒摩周国立公園川湯地域運営協会の方々を中心とした清掃活動によって元の姿を取り戻しつつあります。


過去2回の記事でもご紹介させていただいたのですが、地元の方々のおかげで年々綺麗になっています。そんな地元の方々の熱意が伝わったのか、今では、ゴミを捨てる方もほとんどいなくなりました。

温泉が流れるこの川は屈斜路湖に続くため、将来的には観光客の方が天然の足湯に入りながら屈斜路湖まで歩くことができるようにトレイル整備を目指しています。

実際に歩いてみると、真冬でも足元に熱が伝わってきます。今ある自然を守り、それを活かすアクティビティがどんな形で楽しむことができるのか楽しみです。

旅行者である私たちができることのひとつは、ゴミの削減による環境負荷を減らすこと、地元の方々の熱意が形になった場所に実際に訪れることであると再認識しました。

冬景色の阿寒湖アイヌコタン散策


コタンとはアイヌ語で「集落」を意味します。「阿寒湖アイヌコタン」は、さまざまなアイヌの民芸品を売っていたり、食事を提供する店舗が立ち並びます。


昔ながらのアイヌ文化を受け継ぐさまざまなお店が立ち並び、アイヌ文化に触れるには、ぴったりの場所です。


雪が降り積もるアイヌコタン、雪との暮らしにも触れ合うことができます。

地産地消の食文化

併設農場のこだわり野菜をいただくTHINK’Aのランチ



直営農場や契約農家さんから取り寄せた季節の野菜をふんだんに使った「THINK’A」のランチは体に優しい味わい。


自家製レモネードはすっきり爽やか。


大きな窓の外に広がるのは、一面の雪景色。白樺の森の四季折々さまざまな美しい姿を店内からも眺めることができます。

絶品豚丼と雪見ラーメン「​食堂と喫茶 poppotei」


北海道産のお米(ななつぼし)や北海道産の豚ロースを使用した「​食堂と喫茶 poppotei」の名物、豚丼。


麺は、釧路三原製麺製造の防腐剤を一切使用していない麺。弟子屈産の大豆と地元産の牛乳を使用した白い味噌スープは、まろやかで優しい味です。


そして、デザートに食べたいのが固めカスタードの昔ながらのプリン。デザートも充実しています。

絶品ジビエが楽しめる「両国総本店」


阿寒のハンターから直接仕入れている「両国総本店」のジビエ。鹿肉は、鉄板焼きでいただきました。採れたばかりの新鮮な鹿肉は脂身が少なく、肉質も柔らかく、絶品でした。


特製ダレを絡めていただくジンギスカンもおすすめです。

川湯温泉駅近くの手作りケーキ「森のホール」


川湯温泉駅のすぐ近くにある地元の人気スイーツ店「森のホール」。可愛らしい店内に入ると、ショーケースにはさまざまなスイーツが並んでいます。

レトロな雰囲気が漂う店内には、カフェスペースも併設。



地元北海道の小麦粉や生クリームを使用したフルーツロールを選びました。もっちりとした食感の生地に、甘さ控えめのクリームがマッチしています。

サンドイッチやハンバーグなどのメインが載ったプレート、グラタン、フレンチトーストなどのメニューもあり、ランチに利用するのもおすすめです。

阿寒摩周エリアのおすすめ宿

「川湯観光ホテル」で温泉を満喫


露天風呂やサウナ付きの温泉でゆっくりすることができる「川湯観光ホテル」。高・中・低温とさまざまな温度で温泉を楽しめます。

川湯温泉エリアの温泉といえば、貴金属が変色してしまうほどの強酸性の泉質。

入った瞬間にビリビリと刺激があるのですが、さまざまな効能、殺菌効果があり、肌がつるつる、すべすべに。寒い冬に芯まで温まりました。

阿寒湖が見渡せる「ホテル御前水」


目の前に阿寒湖が広がるロケーションが魅力の「ホテル 御前水」。雪降る阿寒湖が綺麗でした。源泉100%の掛け流しの温泉でゆっくり寛ぐことができます。

アイヌコタンへのアクセスも抜群なので、阿寒湖の観光拠点として便利。ホテルから徒歩1分もかからずに阿寒湖に行くことができます。

今回は雪の日が続いたのですが、晴れの日はまた違った表情の自然に出会うことができます。

photo by 北海道エアポート
photo by 北海道エアポート
photo by 北海道エアポート
photo by 北海道エアポート
photo by 北海道エアポート

旅の終わりに

季節ごとに違った自然の魅力を見せてくれる阿寒摩周国立公園。今回も自然に寄り添うような暮らすような旅を楽しむことができました。

変化が多いこの時代に、阿寒摩周の雄大な自然が維持されているのは、当たり前のことではありません。

この自然を旅行者である自分たちが楽しめるのは、地元の方々を中心とした「未来へこの自然を残そう」という日々の活動のおかげだと改めて感じました。

旅行者である自分たちにできることは、そんな地元の方々の活動を知り、できることから始めてみること。

未来への活動というとすごく大きな取り組みに感じますが、ゴミの量を減らす、環境負荷の少ないアクティビティを体験する、地域食材を食べる、昔ながらの暮らしや伝統文化を学ぶなど、小さな活動の積み重ねだと思います。

変わらず、残り続けてる阿寒摩周の雄大な自然を目の前にして自分たちにできることは、何なのか、そのことに改めて向き合うことができる良い旅でした。

旅の計画も移動も便利なPeachで阿寒摩周へ


北海道の大自然を感じることができる阿寒摩周エリアですが、最寄り空港となる「女満別空港」「釧路空港」には、東京・大阪から約2時間ほどのフライトで行くことができます。

「空飛ぶ電車」をコンセプトに、リーズナブルで快適な移動を提供する「Peach」は、成田空港と関西国際空港から女満別空港・釧路空港まで就航しています。(※最新のフライト情報は公式サイトをご確認ください)

阿寒摩周への旅を計画する際は、Peach公式サイトとPeachが運営する旅の小ネタ帳「tabinoco」をぜひチェックしてみてください。

また、北海道エアポートが運営している「GATE TO HOKKAIDO」にも北海道旅行や観光の情報がたくさん掲載されています。

旅の様子はTwitterで「#阿寒摩周サステイナブルキャンプ」を付けて、tabinocoとSNSで発信しています!

「道東トラベルウィーク2023冬」開催

冬の道東を舞台に、1月29日から2月22日のおよそ1ヶ月のあいだ、全4エリア、道東の魅力を知り尽くす地元のローカルガイドと一緒に、寒い時期だからこそ体験できる地域の”暮らしかた”を体験できるコンテンツを多数ご用意しました。

半日単位から参加できるため、ご自身の予定に無理なく楽しめます。余白に満ち溢れた道東の大自然を遊び尽くす旅。道東が最も煌めく冬で日常を満たしてみませんか。

ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

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