オーストラリア
ライター
デレック ベインズ オーストラリア政府観光局 日本局長

2020年4月にオーストラリア政府観光局の日本局長として着任。州政府観光局と共に、観光やビジネスイベントを目的としたオーストラリアへの渡航需要を高めるため、日本市場でのマーケティング活動を統括している。ブリスベンのグリフィス大学でアジア研究を専攻、さらに、シドニー工科大学では執筆について学び、日本とオーストラリアを舞台にした詩集2巻と小説1冊を出版するほどの親日家。

ヨーロッパやアジアなどからの多くの移民が住んでいる多民族国家オーストラリアでは、様々な国の食事を体験することができます。

時とともに移民の世代は変われど、それぞれの国独自のキュイジーヌの伝統は変わらず、オーストラリアにいながら、信じられないほど本格的な各国の伝統食を食べることができることは、オーストラリア旅行の魅力の一つとなっています。

しかし、オーストラリアが近年、世界的「美食大陸」になったのは、様々な国の伝統的スタイルがそのまま存在していることだけではなく、新たなスタイルとしてのモダン・オーストラリアン・キュイジーヌが生み出されたゆえだと思います。

シドニーの美食体験の真髄とは

シドニーにある「Bitton Gourmet(ビトングルメ)」というカフェ・レストランのオーナーシェフDavid Bitton(デイビッド・ビトン)さんは、フランス生まれで、30年もの月日をかけてモダン・オーストラリアン・キュイジーヌの発展に向け熱心に働いてきました。

「Bitton Gourmet」のメニューには、フランス料理もモダン・オーストラリアン・キュイジーヌと一緒に並んでいます。

シドニーの高級ホテルで日本人シェフとともに働いた経験もあるデイビッドさんが、数年前、家族を連れて日本に訪れた時に、モダン・オーストラリア・キュイジーヌについて語った内容が、とても興味深かったので以下にご紹介します。

David Bitton, Alexandria, SydneyDavid Bitton, Alexandria, Sydney

「モダン・オーストラリアン・キュイジーヌの基本は新鮮な材料。入手のしやすさ、季節性はもちろんですが、世界各国からの影響を受けていることが最大の魅力です。今年で21年目を迎える「Bitton Gourmet」は、シドニー中心部からタクシーや電車でアクセスしやすいアレクサンドリア地区に位置しています。

シドニーではキングストリートと、近くのエンモアロードがモダン・オーストラリアンのエッセンスだと考えていいと思います。

日本を含むアジア、中東、南米、ヨーロッパを代表する50か国ぐらいのレストランが並んでいて、まさにグルメ天国です!

各国の食事の伝統を守りながら、モダン・オーストラリアン・キュイジーヌもメニューに並ぶお店では、イノベーションが大事です。

たとえば、私はフランス系ですが「Bitton Gourmet」では、タイのレモングラスがオーストラリア先住民伝統のブッシュフードもよく料理に使用します。オーストラリアの美味しいバラマンディ(魚)にフランスのセルリアクのピューレを添えたりしてね」。

フランス、イタリア、インドなどの伝統を反映するBitton Gourmetのモダン・オーストラリア・キュイジーヌ

「ワインとのペアリングから、食事を選択する場合もあります。

以前、オーストラリア産リースリングとのペアリングについてソムリエに質問された際、相性のよい食事はと考えた時、思いついたのはカレーでした。私の妻がインド系の南アフリカ生まれで、我が家ではよくインド風カレーを食べるのですが、義理の母が作るカレーに勝るものはなく、カレーはいつも義母に任せています。

でもオーストラリア産リースリングと完璧なペアリングになる食事として、その時ピンときたのはカレーであり、そういった発想が私の付加価値でもあります(デイビッド・ビトン)」。

オーストラリアワインとインドカレーの組み合わせは、日本でも真似できそうですね。

ちなみに、ペアリングと言えば、オーストラリア各地の絶景と現地でしか味わえないローカルフードのペアリングがオーストラリア旅行の醍醐味とも言えますが、私の個人的な“コーヒーと景色”のオススメのペアリングは、シドニーのオーストラリア現代美術館(MCA)の「MCACafe」です。

是非機会があったら行ってみてください!

食文化という変貌する「るつぼ」

Photo by Tourism Australia
今や世界的人気を誇る日本の和食も、海外からの影響を受けていることはご存知だと思います。

飛鳥時代(1200-1400年前)に、中国から仏教が日本に伝わり、ほとんどの種類の肉が禁止されました。さらに同じ時代に日本に箸が伝わり、食文化がだいぶ変わりました。

同様に、5万年以上前から続くオーストラリア先住民の食文化は、現在もモダン・オーストラリア・キュイジーヌに影響を与えています。その5万年の歴史は別の機会にご紹介したいと思いますが、「食」というのは言語のように変貌する文化でもあります。

つまり「食」というのはその国独自のスタイルに分けられることができますが、それは、あくまでも「るつぼ」なのではないでしょうか。この史実を認めてこそ、全世界の方々が自国のキュイジーヌを自慢することができます。

オーストラリア各地で楽しめるペアリング体験

オーストラリア
Photo by Kirsten Cunningham Photography
それでは、オーストラリアの他地域でのペアリング体験についてもご紹介しましょう。

オーストラリア北部にある多民族文化のフードシーンの街ダーウィンは多種多様な味を楽しむことができるノーザンテリトリー(準州)の州都です。

ミンディルビーチ・サンセット・マーケット」は、毎年5月から10月の乾季に週2回、ビーチに面した公園で露天が出されていて、ローカルだけでなく観光客も地元の工芸品を見たりお土産を買ったりするのに楽しいマーケットです。

中には、バッファローやクロコダイルバーガーの露店もありますので、是非試してみてください!そして、ダーウィンの何とも美しい夕日を楽しみながら、フレンドリーな現地の人と触れ合うのもおすすめです。

南オーストラリア州のアデレードは “教会の町” と呼ばれています。ヨーロッパ調の歴史的な建築物や風景が最高のアデレードはグルメ街としても広く知られています。

車でたった1時間のワイン生産地バロサバレーは、南オーストラリア州を観光地として有名にしたと言っても過言ではありません。アデレード市内のレストランも世界一流で「Africola(アフリコーラ)」は植物園に面したアデレードのビクトリア女王時代に建てられたテラスハウスに位置しています。

「Africola」のコースメニューは、シェフのDuncan Welgemoedさんの母国である、南アフリカとイギリスにあるミシュランレストランで働いていた頃の経験を活かしたものばかり。

アデレード産の白ワインと赤ワインを食事に合わせれば、完ぺきなモダン・オーストラリア・キュイジーヌ体験を楽しむことができます。ワインと食文化の幸せな結婚……梅に鶯、柳に燕、紅葉に鹿といったところでしょうか。

ビクトリア州メルボルンは数えられないぐらいのワールドクラスのカフェが豊富な街です。市内のアーバンライフをマイペースで探れば、きっとスタッフが心を込めておもてなしをしてくれるお気に入りの美味しいカフェが見つけられると思います。

そこでオージーの定番フラットホワイトを飲みながら、街ゆく人々の人間観察をするのもちょっとしたペアリングですね。世界的カフェ文化を誇るだけでなく、学生や若い人に人気のメルボルンには、ワーキングホリデーを利用してバリスタコースを卒業した日本人も大勢いるようです。

Photo by Leeuwin Estate
最後に、西オーストラリア州について。州都であるパースから南へ車で約3時間の距離に位置するリゾート地「マーガレットリバー」は“オーストラリアのボルドー”と呼ばれるプレミアムワインの産地です。200軒以上のワイナリーに上質なレストランが併設されている所もあり、かなりのグルメスポットとして注目されています。

日照時間が長く雨が少ないマーガレットリバーは、ブドウ作りに適した気候と土壌に恵まれています。赤ワインではカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインではシャルドネが代表的です。マーガレットリバーのワインと最高のペアリングでワイナリーの傍のレストランでモダン・オーストラリア・キュイジーヌが楽しめます。

こうしてオーストラリアのグルメ旅について書いているとお腹が空いてきます。今夜はお気に入りオーストラリアワインを片手に、母国でいつも見ていた懐かしい風景を思いながら、都内のスーパーで調達した日本の食材でオージー風インドカレー作りに挑戦してみることとします。

最後にTABIPPO.NET読者の皆さんにお知らせです!12月1日よりオーストラリアの国境再開が発表されていましたが、オミクロン株の影響により12月15日に延期となりました。最新情報については、大使館ホームページでご確認ください。

詳しいオーストラリア旅についての情報は、コチラから!

Top Photo by Voyager Estate

デレック ベインズ氏の寄稿記事一覧

オーストラリア旅行
・「日本人の愛すべきセカンドホーム・オーストラリアの旅へ」記事はこちら
・「五感で堪能するオーストラリアの旅」記事はこちら
・「Welcome Back To Australia!待望のオーストラリア渡航再開!旅行やワーホリ計画をしませんか?」記事はこちら

ライター
デレック ベインズ オーストラリア政府観光局 日本局長

2020年4月にオーストラリア政府観光局の日本局長として着任。州政府観光局と共に、観光やビジネスイベントを目的としたオーストラリアへの渡航需要を高めるため、日本市場でのマーケティング活動を統括している。ブリスベンのグリフィス大学でアジア研究を専攻、さらに、シドニー工科大学では執筆について学び、日本とオーストラリアを舞台にした詩集2巻と小説1冊を出版するほどの親日家。

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