笑いながら生きるために、必要な条件
私は、いつから「もっともっと」欲しくなったんだろう。
求める欲望に支配されて、いつも満足できない、しちゃいけない世界を目の前につくってしまっていた。いつだって足元にはたくさんの幸せが転がっていたのに。
苦労しながらも、笑顔で生きていく強さを持つ人たちに、どれだけの勇気をもらっただろうか。素朴なやさしさに惹かれつづけた。子どもたちのはしゃぎ転げまわる姿が眩しかった。
瞳を輝かせて笑いながら生きるために必要な条件。
それは、一生懸命、自分の目標に向かって生きることだ。誰かのために生きることだ。周りとのつながりを大切に生きることだ。
それから、感謝することだ。
カンボジアでボランティアをしている時、子どもたちのひたむきな姿に驚いて、一生懸命に頑張る理由を聞いた。
「お母さんを 喜ばせたいから」
「家族の役に立ちたいから」。
みんなが自然に「誰かのために」という理由を口にした。
子どもたちの幸せは、家族の幸せの上に成り立っていた。お父さん、お母さんが自分たちのために頑張って働いていることをみんな知っていた。
ありがとう、という言葉がいたるところにある。その言葉を聞きたくて、一生懸命に生きる。その言葉で幸せな気持ちが生まれ、笑顔が生まれる。
その言葉を糧に、子どもたちは真っ直ぐに育つ。子どもたち、すごいなぁ!!
私が日本で泣けなかった理由
カンボジア学校建設最終日、子どもたちが自分たちのつくった校庭で思い切り遊ぶ姿を見たら泣けてきた。
みんなと会えなくなるからじゃなくて、あんまり子どもたちが楽しそうで 笑顔が眩しかったから、嬉しくて仕方なかったんだ。
生きるってこういうことかと思う。
幸せってこういうことかと思う。
「ありがとう」。
村の人が言ってくれたら、なんだかもっと泣けてきた。そういえば、ありがとうと言われて泣けることが、日本ではそんなになかったな。
(誰かのために一生懸命行動した時にしか、泣けないんだろうな )。
ずっと泣いていたら、子どもが集まってきて慰めてくれるものだから、涙がまた止まらない。子どもたちはあんまり泣きやまない私の手を引っ張って、夫のそばに連れていってくれた。
「明日も会えるよね」。
そう言って、約束の小指を差し出す子どもたちに私は何も言えなかった。
「明日、日本に帰るんだよ」。
そう言っても子どもたちは、「明日も会えるよね」と言ってくるから、私は我慢できなくて、「またいつか」と小指を握り返してしまった。
みんな元気に、いつものように今も走りまわっているんだろうな。いつものように笑顔全快で幸せに暮らしているんだろうな。
Cafe&Bar Smile Earth
「あなたは家族だよ、いつでも戻ってきて」。
たくさんの国で言ってもらった。一生抱えていきたい思い出と、一生付き合っ ていきたい家族や友達ができた。
私たちは笑顔を追いながら、夫婦で旅をした。その中で、たくさんの気持ちを共有し、同じような価値観を抱くようになった。
(自分たちの足元に笑顔をつくりたい。自分たちも誰かに「家族だよ」と言ってあげたい。家族が夢を叶えるきっかけになるような場所をつくろう)。
夫婦共通の夢を見つけ、行動する勇気を手に入れた。
そして、「Cafe&Bar Smile Earth」が東京の高円寺という街に生まれた。
お母さんとしての合格
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まるで、旅のような存在でありたいと願う。
旅というのは非日常だからか、その日に出会ったばかりの日本人同士が、同じ国の仲間というだけで意気投合するということがよくあった。
夢を語り合うなんて日本では恥ずかしいことだと思っていたけれど、旅では普通にあることだった。そこで出会った仲間が今でも私たちを支えてくれている。
お店でも、毎日いろいろな出会いがある。このお店も旅と同じように気軽に夢を語れる場でありたい。新しいつながりが生まれ、笑顔が生まれ、夢が生まれ育っていく。
帰国して 3 年後、愛娘のひまりが生まれた。私たちは夫婦から家族になった。お店で働く夫のもとへ、ひまりと一緒に遊びにいく。
みんなにとても可愛がってもらっている。たくさん の人間の愛情と笑顔に囲まれ、すくすく育っている。
もしも、旅に出なかったら。
大好きなお店を開くこともなかっただろう。家族や友人に対する考え方だって、もっと貧しかったと思う。
旅をしていなかったら、家族の有り難さを今ほど感じていたかはわからない。幸せを誰かの基準に合わせ、誰にでもある幸せの形なんて考えなかっただろう。
旅があったから、子育てをしていても、こんなに多くの人とつながりを感じることができるのだと思う。
旅があったからこそ、自分の中にある幸せの形を伝えられる。 支え合うことの大切さを伝えてあげたい。助け合うことの 大切さを伝えてあげたい。
(それができたら、お母さんとしては合格じゃないかな)。
旅に出る意味がわからなければ
旅に出ることに迷っている人がいたら、「旅っていいよ」と後押ししたい。もし旅に出たのなら、世界中で自分が感じたことを周りの人に伝えてほしい。
それを見た人がその国を身近に思うだけで、世界はちょっとずつ変わっていく。
自分が何もできなくても、自分が知らせた人には何かができるかもしれない。旅人から、世界がちょっとずついい方向に変わっていく。そうなったら嬉しいなぁと、ずっと思っている。
もちろん、世界中に散らばる絶景、見ておいた方がいい。 地球に生きているだけで嬉しくなるような景色がたくさんあるのだから。
それでも旅に出る意味がわからなければ、お店に遊びにきてほしい。
世界中の写真と一緒に、なんでも相談できる店員が待っています。それから、ここにはとうてい書ききれなかった旅の話を聴きに来てください。
旅がしたい!けど踏み出せない。そんなすべての女の子へ
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今回の女子一人旅ストーリーを掲載している書籍では、ほか13名の感動ストーリーを彼女たちが実際に撮ってきた世界中の素敵な写真と共に、彼女たちの思いに浸ることができます。
初めての一人旅には欠かせない情報が詰まった旅のしおりページも、雑誌のようにオシャレで、実用的です。
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