「メキシコに留学していました。」と話すと、次の返しは決まってこうです。「治安とか大丈夫なの?」
仕方ありません。日本で流れているメキシコのニュースは「麻薬」「不法移民」「マフィア」「惨殺」「誘拐」「強盗」など、おどろおどろしいものばかり。正直悲しいです。私の見たメキシコは、溢れんばかりのエネルギー、カラフルな街並み、かっこいい遺跡、美味い食べ物、安い果物がとても魅力的な国だったから!
治安が悪いというメキシコのイメージを覆すため、今回はメキシコで安全に暮らすための「メキシコ人」の掟をお教えします。
メキシコ人から学ぶ、安全に過ごすための掟とは
今回ご紹介する「メキシコ人」の心構え5つは、すべてメキシコ人が実際に注意して生活していることです。簡単にいえば、時間、場所、場合のTPOをわきまえるというだけ。メキシコに限らず、旅人ならどんな場所でも応用できます。
め・目を離すな貴重品
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貴重品の管理には、常に気を配りましょう。カバンはチャック付きのものでしっかりと閉めて、中身を見られないように。日本ではやりがちですが、机の上にスマートフォンや財布を置きっぱなしにすると、目を離した隙に一瞬で盗られます。
また、車の中であっても外から見えるところに荷物を放置すると、車上荒らしに遭います。極力車にものを置いて出るのは避けるか、トランクにしまいましょう。
そして、ブランド品の所持、スマートフォンのながら歩きはスリや強盗の格好のターゲットとなります。電車のホームでiPhoneを鞄のポケットにしまった直後、それを見ていたスリに満員電車で盗られた、という話もありました。
き・危険な場所に近づかない
メキシコが危険なのは、麻薬組織の縄張りや暴力行為が存在するから。
なので、治安の悪いと言われる地区や場所にわざわざ足を踏み入れたり、土地勘がないまま裏路地や暗い道などを歩いたりするのは自殺行為です。うっかり迷い込んでしまい、やばいかもと思ったらすぐに引き返しましょう。
「危険な場所」の定義は様々ですが、現地の人や詳しい人に、自分が行く・住む・生活する場所についてあらかじめ話を聞き、止められたら素直に従いましょう。
例えばメキシコシティーでは、バスターミナルや空港周辺が、治安が悪いと言われていました。
ただしこれらの施設を使わないわけにはいかないので、どうしても必要があって行く場合は、トラブルが起きた時に交渉能力がある現地の人についてもらいましょう。ちなみに、デモなどの集会に外国人が参加することは法律で禁じられているので、注意が必要です。
し・しつこいナンパにご用心
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情熱的なメキシコ人男性は、すぐguapa(美人), bonita(きれい),linda(かわいい)と言った甘い言葉でナンパしますが、女性を褒めるのが習慣なのでスキを見せないこと。残念ながら世界では「日本人女性はチョロい」というイメージがあるそうです。
単純にチャラいだけならよい方ですが、スリから結婚詐欺まで、様々な犯罪を仕掛けてこようとする人がいます。「メキシコの男には気をつけろ」「俺は他のヤツと違って軽くない」と言う人ほど注意です。
例えば、目の前の車が急に停まり「かわいいね、乗せて行ってあげるよ。」と言われたことがありました。何も言わずに無視してOKです。また、チニータ!と声をかけられることがあるかもしれません。中国の女の子という意味ですが、ただのアジア人向けの挨拶なので深い意味はありません。
こ・交通機関では堂々と
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私が住んでいた街メキシコシティーは、交通網が発達しています。日本人だと、交通機関では目立ちますが、堂々と使うのがトラブル被害にあわないコツ。夜遅くや、人が少ない時間は利用を避けましょう。
メトロと呼ばれる地下鉄はどこまでいっても5ペソ(40円)、路面バスのメトロバスは7ペソ(56円)と、格安です。
タクシーも初乗り8ペソ(64円)と激安。ただしLibre(リブレ)と呼ばれる流しのタクシーは危険なので、夕方以降はSitio(シティオ)とよばれる、電話やアプリで呼び出せる無線タクシーが安全。タクシーアプリUberでも初乗り40ペソ(320円)から呼び出せます。
また、メキシコシティーのタクシーはメーターが付いています。ですが、地方のタクシーにはないので乗る前に「クアント・クエスタ・アスタ〜(場所の名前)?(¿Cuánto cuesta hasta〜?)」と聞いて、値段を確認すること。
じん・ジーンズを履こう
最後は服装について。メキシコのファッションは、ジーンズ・長ズボンにTシャツが基本ルックです。日本では、夏はミニスカート・ショートパンツが当たり前ですが、南米では逆に、生脚の露出は男性への誘惑とみなされるそうです。
女性は、長ズボン・ジーンズ・もしくは濃い色のレギンスを履いて脚を隠しましょう。
またメキシコの道は歩きにくく、万が一のことがあった場合に走って逃げられないのでスニーカーがおすすめ。もちろん、パーティーやビーチでは例外です。ただでさえ日本人は浮くので、ファッションでメキシコ人化を目指しましょう。
これらを注意した上で最も大切なのは、おどおどせずに、自分自身が「メキシコ人」のように行動することです。つけ込む隙を与えないことで、狙われる可能性は格段に下がります。特に、信頼できるメキシコ人と行動できるならば、それが一番安全です。
もし怖い目に遭ってしまったら。
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万が一、強盗やバスジャックなど危険な目に遭ってしまったら、絶対に抵抗せず、要求に従いましょう。常に、500ペソくらいは相手にくれてやる、という気持ちで、財布とは別に持っておくと良いでしょう。
彼らは殺すためではなく、お金を得て生きのびるために強盗を犯すケースが多いです。またトラブルを抱えた時、実際に被害にあった場合は、すぐに日本大使館に連絡を。これであなたもこう言えます。