キック!
「ボン」
キック!
「ボン」
思いっきりキッ――――ク!
「パーン」
ムエタイファイターには程遠いキックでした。やはり難しい。でも繰り返していくうちに、いい音が出るようになりキックやパンチすることがストレス発散になってきました。やっていくうちに楽しくなり、疲れなど吹っ飛びます。今度は実際にリングに上がりミット打ち。モチベーションが最高潮。
僕はトレーナーを虎のような目で睨み付けます。絶対に負けられない戦いがここにはある。でも、トレーナーの厳しさも一気に上がりました。
「10パンチ!」(パンチ10発)
「20パンチ!」(パンチ20発)
「10ロー!」(ローキック10発)
「10ハイ!」(ハイキック10発)
これを×3、そして「50パンチ!」(パンチ50発)
これで1セット。3クール繰り返します。
気のせいか、それっぽく見えます。カメラマンさすがです。数字だけ見るとそんなことないかもしれませんが、これかなりきついです。さぼることもできますが、元野球部の負けず嫌いメンタルが発生してしまい全力でやり切りました。
終わった時はこの表情。やり切った感満載で自分ながらいい顔してます。
戦いの果てに見えたもの
自らを追い込み、肉体的疲労と精神的疲労で全てがボロボロになった状態でレッスンのすべてが終わりました。大の字でジムの床に寝ていると、「ハイ!」と声をかけられる。そこにいたのは、
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キンキンに冷えた水を持ったムエタイジムのおっちゃんでした。誰もが美女を期待したと思いますが、そんないい具合に人生行きませんね。おっちゃんからは
「Nice Fight!」
の一言。厳しくされていた分すごくうれしかったのを覚えています。おっちゃんから渡された水を飲み干し、体力を回復した僕はお礼を言い宿へ帰ろうとしました。すると水をくれたおっちゃんが去り際に「See you tomorrow!」絶対に明日行ける自信がなかったので、お辞儀だけして帰りました。
その日の夜のビールはいつもよりおいしかったです。※案の定、次の日は全身筋肉痛でした。
エピローグ
旅先でその国・地域の文化に触れる機会は多いと思います。僕も実際に博物館や歴史的建造物、ホームステイなど色々な形で文化に触れてきました。
旅をしていると運動不足になりがちで体を動かしたいなと思う人も少なくないはずです。そう思った際はその国で人気のスポーツで汗を流しながら、文化を学んでみるのもいいのではないでしょうか。