ニルギリ鉄道の景色
ライター

1998年生まれ、旅と自然が大好きな元先生。大学卒業後、インドネシアで3年間暮らし、2025年10月から世界一周へ。遺跡や自然の風景をのんびり楽しみつつ、気ままに旅しています。海と山、そして朝陽がきれいな場所で暮らすのが夢。

インドには、ユネスコ世界遺産に登録されている鉄道があります。そのひとつが、南インドを走る「ニルギリ山岳鉄道」です。

山の中をゆっくり走るこの鉄道に乗ってきました。車窓から見える景色はもちろん、途中駅でのチャイ休憩や乗客の雰囲気まで楽しめる、思い出深い鉄道旅です。

今回は、チケットの予約方法や実際に乗って感じた魅力を紹介します。

ニルギリ山岳鉄道とは

ニルギリ鉄道
ニルギリ山岳鉄道は、南インド・タミル・ナードゥ州にある山岳鉄道です。避暑地として人気のあるウーティと、ふもとの町メットゥパーラヤムを結んでいます。

2005年には「インドの山岳鉄道群」のひとつとしてユネスコ世界遺産に登録されました。急な坂道を走るため、一部区間ではラック式鉄道という特殊な仕組みが使われているんだそう。

ゆっくりと山を下りながら、茶畑や集落、渓谷など南インドらしい景色を楽しめるのが魅力です。移動手段というよりも、景色を楽しむために乗りたい鉄道だと感じました。

オンラインでチケットを予約

ニルギリ鉄道の電光掲示板
チケットは、事前にオンラインで予約しておくのがおすすめです。当日に駅の窓口で購入することもできますが、席に空きがあったり、キャンセルが出たりした場合のみの販売になるため、乗れる可能性はあまり高くありません。

私が訪れた日も、当日券は数枚だけ販売されていたそうです。

万が一乗れなかった場合は、近くのバスターミナルから鉄道と同じ目的地へ向かうバスも出ています。それでも私は、山岳鉄道ならではの景色を見たかったので、事前に予約してから向かいました。

チケットの予約方法

ニルギリ鉄道の駅
私はIRCTCという、インド鉄道の予約サイトからチケットを購入しました。

寝台列車をはじめ、インド国内を走るさまざまな鉄道の予約に対応しているので、鉄道で移動する予定がある方はアプリをダウンロードしておくと便利です。

予約の流れは意外とシンプルで、IRCTCのアカウントを作成し、日時と座席を指定して購入。予約が完了すると、アプリ内でチケットを確認できるようになります。

流れだけ見ると簡単そうなのですが、私はアカウントを作るだけで2日間かかりました。

予約時の注意点

ニルギリ鉄道
予約するときに気を付けたいポイントは、2つあります。

ひとつめは、予約するタイミングです。

私が予約したのは乗車する約2か月前でしたが、その時点で週末の便はすでに満席でした。平日でも予約できない日があったので、予定が決まったら早めに手配することをおすすめします。

もうひとつは、予約手続きが思った以上に大変ということ。

インドのビザ申請と同じように、なぜかクレジットカードが通らなかったり、アカウント登録が途中で進まなくなったりすることがあります。

「すぐ終わるだろう」と思って始めると意外と時間がかかるので、気持ちにも時間にも余裕があるときに進めるのがおすすめです。

ウーティ駅から乗車

ニルギリ鉄道の駅
私が乗ったのは、ウーティ駅からメットゥパーラヤム駅までの区間です。夜行バスでウーティへ向かい、そのまま山岳鉄道に乗りました。

ウーティ駅周辺には、大きな観光スポットはありません。しかし、山の上で暮らす人たちの家や服装、街の雰囲気まで、ほかのインドとはどこか違って感じます。

私は早朝に到着したので、チャイとパラータを食べながら少し休憩しました。

パラータ
鉄道が到着する20分ほど前に駅へ向かうと、まだ人はまばら。それから10分ほど経つと少しずつ人が集まり始めました。駅舎やホームの写真をゆっくり撮りたい方は、20分前くらいに行くのがおすすめです。

その後、鉄道は10分ほど遅れて到着し、予定より約25分遅れで出発しました。

全員が座席に着くと車掌さんがチケットを確認し、ドアをカチャッと閉めます。その音を合図に、ゆっくりと山岳鉄道の旅が始まりました。

ニルギリ山岳鉄道から見える景色

ニルギリ鉄道の駅
ニルギリ山岳鉄道は、その名の通り山の中を走ります。

スピードは決して速くありません。その分、流れていく景色や車内の雰囲気をゆっくり楽しめるのが魅力です。

私が乗った車両は、ほとんどがインドの人たちでした。景色だけでなく、車内の空気まで一緒に味わえたことも、とても印象に残っています。

山の中を走るアトラクション感

ニルギリ鉄道の車窓から
車両にはガラス窓がなく、風が勢いよく吹き込んできます。

そのままトンネルや大きな木のすぐ横を通り抜けるので、まるでアトラクションに乗っているような感覚でした。

崖のすぐ横を走る場所では、「こんなに近くて大丈夫?」と思うほど。思わず体を引いてしまう場面もあります。

特に印象的だったのはトンネルの中です。

入った瞬間、車内にいた若者たちが一斉に「フゥー!」と歓声を上げ、大盛り上がり。そんな賑やかな雰囲気も、旅の思い出のひとつになりました。

山の中の集落

ニルギリ鉄道の山
山の中を走っていると、小さな集落がいくつも見えてきます。

手を振ってくれる子どもや、畑で作業をする人たち。鉄道が生活の一部になっている様子が伝わってきました。

こんな山奥にも人が暮らしているんだという発見ができるのも、この鉄道ならではの魅力です。

茶畑

ニルギリ鉄道の車窓から
鉄道の速度が少し落ちたなと思うと、目の前に美しい茶畑が広がっていました。

インドは紅茶の生産地として有名ですが、このニルギリ地方も代表的な産地のひとつです。あたり一面に広がる茶畑を見ると、ほかの乗客も立ち上がったり身を乗り出したりして写真を撮っていました。

ゆっくり走る鉄道だからこそ、景色をじっくり眺められる時間が流れています。

橋の上を渡るスリル

私が一番どきどきしたのは、大きな橋を渡るとき。

橋の下には勢いよく川が流れ、その上を鉄道がゆっくりと進んでいきます。ギシギシという音が聞こえてくるたび、少し不安になるほど。

でも、そのスリルも山岳鉄道ならでは。窓のない車両だからこそ、迫力をより近くで感じられました。カメラを落としそうで怖くて、写真は撮れず。

途中駅でチャイ休憩

ニルギリ鉄道の途中駅
印象的だったのは、途中駅での過ごし方です。

鉄道が停車してドアが開くと、多くの人が一斉に売店へ向かい、チャイを買いに行きます。そんなにと思うくらい、乗客の半分ほどはチャイを片手に戻ってきていました。

ニルギリ鉄道で食べたサモサ
私はお腹が空いていたので、売店でサモサを購入。揚げたてのサモサは、外はサクサク、中はスパイシー。熱々を頬張りながら列車を待つ時間も、この旅の楽しみのひとつでした。

メットゥパーラヤム駅に到着

ニルギリ鉄道の終点
約5時間かけて、メットゥパーラヤム駅に到着しました。

途中では線路に牛が入り込み、避けるのを待つ場面があったり、チャイ休憩からなかなか戻ってこない人を待ったりと、予定より約30分遅れての到着です。

日本では時間どおりに運行することが当たり前ですが、インドではこうした出来事も旅のひとつ。時間を気にしすぎず、その場の空気を楽しむくらいの気持ちで乗るのがおすすめです。

このあと私は、コインバトールで宿を予約していたため、メットゥパーラヤム駅から電車を乗り継いで向かいました。

ちなみに乗っている間ずっと木製の固い座席に座り続けていたので、立ち上がった瞬間はお尻が少し痛かったです。

ニルギリ山岳鉄道に乗ってみて

ニルギリ鉄道の車窓から
ニルギリ山岳鉄道は、いつか乗ってみたいと思っていた鉄道のひとつでした。その目標を達成できたことはもちろん、想像以上に景色や車内の雰囲気まで楽しめたことが印象に残っています。

山あいをゆっくり進む車窓からは、美しい茶畑や小さな集落、豊かな自然が広がっていました。途中駅ではチャイを飲んだりサモサを食べたりと、移動時間そのものが旅の思い出になります。

鉄道は目的地へ向かうための移動手段でもありますが、この路線は「乗ること」が目的になる鉄道です。

ウーティを訪れる機会があれば、ぜひ少し時間に余裕を作って、ニルギリ山岳鉄道の旅を楽しんでみてください。

All photos by Shion Nakamura

ライター

1998年生まれ、旅と自然が大好きな元先生。大学卒業後、インドネシアで3年間暮らし、2025年10月から世界一周へ。遺跡や自然の風景をのんびり楽しみつつ、気ままに旅しています。海と山、そして朝陽がきれいな場所で暮らすのが夢。

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