ライター
帆志 麻彩 旅と暮らしの文筆家

小学5年生のときにオランダでみた運河の光が忘れられず、旅が人生の大きな軸となりました。これまで、旅メディアの編集、企業広告コピーや雑誌取材記事、ガイドブック制作などを担当し、2019年からは〈サステイナブル〉をテーマに活動。その他、詩の創作や旅の貼り絵など、好きなことをしながらゆるりふわりと過ごしています。好きな言葉はモンテーニュの「自分は自分のものである」で、憧れの人はターシャ・テューダー。著書に『本能のデザイン』(実業之日本社)。

世界中で自粛生活が余儀なくされる中、テレビをつければスーパーや薬局での行列、買い溜めのニュースが流れ、この終わりの見えない生活はいつまで続くんだろうと不安になってしまいます。

ですが、人生でそうそう訪れないであろうこの時間が、自分の生活と向き合うきっかけになっている方も多いのではないでしょうか?

私自身、今回の出来事を通して色々な学びがありました。そのひとつは『フードロス』について。お買い物をするとき不要なものを買っていないか。まだ使える食材を捨ててしまってはいないか。保存の仕方に問題はないか。こうして自分の食事を見直すことは、フードロス削減の第一歩です。

今回は、世界のフードロス事情をご紹介しながら、今私たちにできる行動についてお話していきます。

『フードロス』ってなに?

photo by hoshi maaya
そもそも、フードロスとはなんでしょう? 『フードロス=食品ロス』とは、食べ残しや売れ残ってしまったもの、賞味期限が近いもの、調理段階で切り落とした部分など、“まだ食べることができるのに捨てられてしまう食品”のことを指します。

スーパーやコンビニなどでは、商品を切らさないよう、棚が寂しく見えないよう、常に多めに商品が発注されています。しかし、そのためにお弁当やお惣菜、生鮮食品など毎日たくさんの食品が廃棄されてしまっているのが現状です。

また、新商品や販売規格が変更された商品、製造過程で発生してしまった印刷ミスの商品なども、店頭には並ばずに返品されたり破棄されたりしています。

いつお店に行っても棚いっぱいに商品が並んでいる光景は、私たちにとって当たり前の日常かもしれませんが、便利な暮らしの裏ではこういう問題が起きているんだと認識することがとても大切です。

世界のフードロス事情と取り組み

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日本のような先進国では “過剰に生産され、余ったら廃棄される” フードロスが深刻な問題になっている一方で、後進国や途上国では食料不足による飢餓で苦しんでいる人たちがいます。

国連の発表によると、世界で生産された食品の3分の1、つまり13億トンあまりが捨てられているのだそう。また、食品廃棄に伴う経済的損失(魚介類を除く)は、約84兆円に達するとも試算されています。

世界ではこうした問題を深刻に受け止め、フードロスを減らすための取り組みが積極的に行われています。

例えば、フランスでは、2016年に売れ残り食品の廃棄を禁じる法律を作りました(法的に禁止ってすごい!)。廃棄予定の食品のうち、品質に問題ないものは必要としている人に渡るようにしたり、家畜の餌や堆肥として利用できる仕組み作りができているのです。

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以前こちらの記事でご紹介したスウェーデンのレストランでは、スーパーなどで廃棄される食品などを調理して提供していました。自分で “食べられる分だけ取る” スタイルにすることで、お客様の食べ残しもほとんどないそうです。また、売れ残った料理はホームレスの人たちに寄付されているので廃棄されることもありません。

インド南部の町にあるレストランでは、お店の前に24時間誰でも利用できる冷蔵庫が設置されています。売れ残ってしまった料理とミネラルウォーターを冷蔵庫に入れておくと、ホームレスの人たちが利用するようになり、そのうち地域の人たちや近隣の飲食店の人たちも冷蔵庫に差し入れをするように。のちにその冷蔵庫は『善意の輪』と名付けられ、活動の輪はどんどん広がっているそうです。

日本のフードロス量はどれくらい?

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では、日本のフードロス量はどれくらいになるのでしょうか?農林水産省の発表によると、日本国内のフードロスは年間643万トン(2016年度)にもなります。なんだか多そうな数字…というのはわかりますが、私たち個人がどのくらい廃棄しているのかいまいちピンときませんよね。日本人一人あたりで考えてみると年間食品廃棄物量は世界で第6位、アジアではワースト1位という多さだそうです。

世界の様々な取り組みを見ても「私たち個人でできることってあるのかなぁ…」と、なかなか自分ごとに置き換えられないかもしれませんが、日本のフードロスの約半分は家庭から発生しているという調査結果も発表されています。

スーパーやコンビニ、レストランだけではなく、私たちのキッチンからそんなにもたくさんの食品が廃棄されていたなんて…。なにげなく捨てている野菜の皮や、冷蔵庫の奥に眠ったまた食べ損ねてしまったものなど、それぞれの家庭で捨てているものも積み重ねるとそれだけの量になってしまうということですね。

ライター
帆志 麻彩 旅と暮らしの文筆家

小学5年生のときにオランダでみた運河の光が忘れられず、旅が人生の大きな軸となりました。これまで、旅メディアの編集、企業広告コピーや雑誌取材記事、ガイドブック制作などを担当し、2019年からは〈サステイナブル〉をテーマに活動。その他、詩の創作や旅の貼り絵など、好きなことをしながらゆるりふわりと過ごしています。好きな言葉はモンテーニュの「自分は自分のものである」で、憧れの人はターシャ・テューダー。著書に『本能のデザイン』(実業之日本社)。

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