ライター

ローカルな街並みや文化が大好きな、兵庫県出身の25歳。ベンチャー企業の法務担当として勤務する傍ら、休日は機会を見つけて地方を旅している。熱意の応援者として、ともに刺激を受け与える関係でありたい。最近は地域の魅力を伝えるツアーづくりに取り組む。秋のフルマラソンに向けても奮闘中。

また、フランクフルトで宿泊したユースホステルの食堂で出会ったご夫婦も気さくに話してくれた。相席になることは避けられず、勇気を出して「ここ空いていますか?」と声をかけると、自然に会話が始まった。日本への造詣も深く、次々と地名を出して「ここ行ったよ!」と話してくれる。所々うまく説明できない部分もあったが、うまく意図をくみ取ってくれたのがありがたかった。

楽しい時間は一瞬で過ぎ去り、部屋に戻る時間に。「日本語で”Have a good time”と”Thank you”を書いてほしい」というオーダーを受け、ローマ字で書いてあげた。なんとか発音しようとするも「発音は難しいね」と微笑む姿が印象的だった。

ユースホステルでの夕食。オプションだったので迷ったが、結果として楽しいひとときを過ごすことができた
筆者は大人数の場では人見知りを発揮してしまう性格で、日本にいても「はじめまして」で話すということが苦手だ。懇親会での立ち振る舞いもわからないし、未だに何を話せばいいのかもわからない。しかし、旅先のゲストハウスでは自然と何でも話せてしまう。一期一会の話をする時間も心地よい。それは、海外でも同じだった。いや、海外だからこそ、思い切って話ができたのかもしれない。

うまく説明できなくても、不器用だったとしても、会話の輪に入ることができる。基本的な英語でも、困った際には、助けを求めれば応えてくれる。それが分かっただけでも、不安が幾分か軽減された。

ちょっとしたトラブルを乗り越える

とはいえ、すべてが順風満帆にいくわけではなかった。旅にトラブルは付き物。大きなトラブルがなかっただけ幸いだが、ちょっとしたトラブルは何度も経験した。

ヘルシンキでは交通アプリでの決済に戸惑いつつ、なんとか購入できて一安心
例えば、タリンからヘルシンキに戻ってきた際、e-Simが急に使えなくなった。この後のストックホルム行きのフェリーは別の港からの出発で、それに乗るには移動しなければならない。その行き方がわからないとなれば、万事休すだ。幸い、周囲に地図を見つけたため九死に一生を得たが、いかに自分がスマートフォンに依存していたかが浮き彫りになった。

また、ベルリンからニュルンベルクに向かうためICEに乗車した際、車内の掲示板を見て違和感を覚えた。予定通りミュンヘン行きのはずなのに、なぜか到着時間が2時間も遅い。これではニュルンベルクでの滞在時間が僅かになってしまう。調べてみると、ベルリンからミュンヘンに向かうICEは2路線あり、遠回りな方に乗ってしまったらしい。

日本では「のぞみ」「こだま」「はやぶさ」など、方面や停車駅の違いにより列車名で判別できるが、ドイツの高速鉄道では「ICE」という名称が多方面で使われているようだ。咄嗟にEurailアプリで経路を調べ、途中で乗り換えを挟むことでなんとか1時間遅れまで食い止めることができたが、もし予定がパンパンに詰まっていたら、どれかを削らなければならなかった。

乗り間違えてしまったICE
ここまでのプチトラブルは自力で解決できたが、現地の方の助けを借りなければ解決できなかったケースもある。

例えばコペンハーゲンの電車では、車内とデッキを隔てるドアに手をかざしても扉が開かない。困っていると、車内の座席に座っていた乗客の方が、頭上で手を大きく左右に振るような仕草をしている。自分も真似をしてみると、あんなに開かなかったドアが難なく開いた。どうやら上部にドアを開けるセンサーがあり、手を振る動作でドアが開くようだ。

よくあることなのか、お礼を伝えると「慣れないよね~」というかのような笑顔を返してくれたが、もし自分一人だったら車内に入れなかった。教えてくれた方には感謝しかない

デンマーク国鉄でコペンハーゲンへ。車内ドアはその後も慣れるまで時間がかかった
こうしたプチトラブルを自力で、あるいは周囲の方の手を借りて解決することを積み重ねていく中で、不安だった旅も、少し自信がついてきた。日本にいたころよりもちょっとだけ、殻を破れた気がした。

勢いでユーロスターに乗ることを決めたが、事前に入国ビザ(ETA)が必要であることが発覚。幸いにも取得できたがヒヤヒヤした

帰国、そして前向きな一歩を踏み出す

ようやく旅に慣れてきたと感じた頃は、名残惜しくも帰国のときだった。飛行機に乗り、久々に聞く日本語を懐かしく感じながら、数か月前に買ったミラーレス一眼のカメラロールを流しつつ、この18日間のあれこれを振り返った。

いつもは見慣れたJALのマークだが、今回の旅では久々の再開にほっとした
羽田空港に降り立つと、こんなに暑かったのかというくらいムシムシした。けれど、そのムシムシさに懐かしさを覚えた。日本に帰ってきたのだという実感だった。

ひとり旅では、自分と向き合う時間が増える。いまの自分を一度リセットして、新たな環境で日常とは異なる経験をしていく中で、時に予想もしなかった自分に出会う。18日間という短くも長い期間をひとり異国の地で旅することは、図らずも自分自身の内なる願いに向き合い、不安を楽観に変える、今しか得られない貴重な時間だった。漠然と抱いていた転職先への不安も、海外をひとりで旅したことで、なんとかなるだろうという気持ちが芽生えてきた。

もし今、就職や転職などの節目にあり、少しでも海外ひとり旅を経験してみたいという願いがあるならば、迷わず飛び出してみてほしい。その旅はきっと、次のステージに進む上での自信につながると思うから。

All photos by Nakashin

ライター

ローカルな街並みや文化が大好きな、兵庫県出身の25歳。ベンチャー企業の法務担当として勤務する傍ら、休日は機会を見つけて地方を旅している。熱意の応援者として、ともに刺激を受け与える関係でありたい。最近は地域の魅力を伝えるツアーづくりに取り組む。秋のフルマラソンに向けても奮闘中。

RELATED

関連記事