こんにちは、トラベルブロガーの桜子(hossakuraworld)です。
第5回にわたってお届けするチェコ旅のレポート記事。今回は、2018年11月にユネスコの無形文化遺産に登録された、チェコの伝統文化「藍染め」についてご紹介していきたいと思います。
今までは、「チェコ=ビール」くらいのイメージしかなかった私。しかし「藍染め体験」が良い意味で期待を裏切ってくれて、とっても良い経験になったのでぜひ皆さんにもシェアさせてください!
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チェコの藍染めって何がすごいの?
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モラヴィア地方の工房で行われている藍染め。実は、テクノロジーが進化した現在でも、一つ一つ手作業で行われているんです。
藍染って手法自体は、本当にシンプル。
①版をスタンプのように白い生地に押す。
②しっかり藍色がつくまで浸し、先に型押しした部分を熱で剥がす。
ただ、これだけなんです。文字にすると簡単そうですが、職人さんそれぞれのこだわりや工夫が詰まっているんです!昔はたくさんあった藍染め工房も、現在はたった2軒しか残っていません。伝統文化の存続が危ぶまれているのは日本だけではないんですね。
そんなチェコの藍染めが2015年に無形文化遺産に指定され、2018年11月にユネスコの世界無形文化遺産登録に登録されたのです。
ストラージュニツェにある藍染め工房を訪れてみた!
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私は貴重な2軒の工房のうちのひとつ、「Strážnický modrotisk」を訪れてきました。家族経営で行っているそうで、お店の外から古き良き佇まいを感じます。
この工房は、チェコとオーストリアとスロバキアとの国境も近いエリア、「ストラージュニツェ」という町にあります。
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早速、藍染めの現場を見学させていただきました。約20〜30センチ角の木製や金属製の凸版の型を使い、版に染めをつけて、
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ひとつひとつ丁寧に布に型を押していきます。
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型を押す目がずれないように版を押すには、高度な技術と経験が必要とされるそうです。これをすべて手作業で行っていきます。
古典柄の型からモダン柄の型まで、豊富な種類が揃えられていました。
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藍染めに使用する素材は、もちろんコットン100%。写真のように広げて、1週間乾かします。
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何度も何度も釜につけて、藍の色を濃く染めあげていきます。
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手作業ゆえに、かかる時間も膨大です。こうしてようやく出来上がったものが、世界中に届けられていくのです。
衰退が危惧される中で脈々と受け継がれる伝統文化
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機械による大量生産が当たり前になった今の時代、このような伝統文化は衰退の一途をたどっています。大航海時代に広まったチェコの伝統文化「藍染め」ですが、政治的な弾圧もありほとんどの藍染め工房は閉鎖。
この衰退の危機をどうにかしようと、残された工房の後継者たちがなんとか受け継いでいるのです。
オーナーの孫娘さんが、こんな素敵なお話をしてくれました。
「もともと、私はデザイナー志望でヨーロッパの学校に通い、海外で活躍するのが夢だったの。でも、デザインのことを勉強していくうちに、家業である藍染めの伝統文化がいかに素晴らしいか知ることができた。そして、私はこの伝統を受け継いで、世に届け続けたいと思うようになった。今はこの仕事を誇りに思っているわ。」と。
オーナーのおじいさんがこの話を嬉しそうに聞いていたのがとても印象的でした。
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日本でも伝統文化の後継者不足が社会的な問題になっていますが、本当に価値ある技術はぜひこれからも受け継がれ続けていってほしいと改めて感じました。