トラブル時の不安解消術:認知行動療法(CBT)の出番

ハワイでもスターバックス
まずは少し頭を冷やそうと、私は空港内のスターバックスへ向かった。コーヒーを買い、椅子に座って深呼吸をする。
どうすればいいのか、まずはスマホで情報を探る。だが、わかったことはひとつだけ。結局、私はただ「待つ」しかないのだ。
こういうとき、頼れる相手がいないのが一人旅の欠点でもある。助けてくれる人はいない。つまり、私の状況を解決できるのは自分だけなのだ。
ふと頭に浮かんだのが、以前仕事で学んだ「認知行動療法(CBT)」だった。
不安が膨らむときこそ、「思考・感情・行動」を切り分けて眺めてみる。「今、実際に何が起きているのか」「自分は今、何を感じているのか」「次にできる行動は何か」
ひとつずつ整理していく。私は医療従事者として、日々ストレスと向き合う患者さんを多く見てきた。だからこそ、こうしたアプローチの大切さは身に染みている。
まさかこんなハワイの空港で、仕事で培ったスキルが役に立つとは思わなかったけれど。
旅のトラブルは、ある意味CBTの実地トレーニングだ。そうやって冷静さを取り戻す力が、少しずつ自分の中に蓄積されているのかもしれない。
無事に座席確保

ホノルル空港は思っていたよりシンプルで
藁にもすがる思いで、搭乗ゲートの隅でぎりぎりまで待ち続けた結果━━。
ようやく、私の名前がよばれた。ロサンゼルス行きの座席が確保できたのだ。
安堵とともに、張り詰めていた全身の力がふっと抜けていく。
これでアメリカ本土へ飛び立てる。ロサンゼルス、そしてニューヨークへ。
空港では一睡もできなかったため、機内に乗り込むと、疲れと共に深い眠気が襲ってきた。飛行機が高度を上げる「ゴオオ……」という音が耳に響く。
ここからロサンゼルスまで、約6時間のフライト。旅はまだ始まったばかりだ。
まとめ:トラブルも旅の一部
「あのとき旅をしていなかったら、どうなっていただろう」ふと、そんなことを思うときがある。
振り返れば、今回の旅はトラブルだらけだった。10万円の上乗せフライト。機内でのビール事件。そして空席待ち。
それでも、あとになって思えば、そのすべてが旅の思い出だ。
そして私は、ハワイの“本当の顔”をまだ見ていない。だからこそ、次はもう少しゆっくり歩いてみたいと思う。
ビールを浴びた黒のワイドパンツを眺めた。このズボンは、もう10年も履き続けている。
果たしてこの先、どんな旅が待っているのだろう。そんなことを考えながら、飛行機の固い座席の上で、私は静かに目を閉じた。
All photos by Risa Yamada