太陽の贈り物
ライター

旅して食べて、撮って書くひとです。 わたしの生きるテーマは「人生は、ごちそうだ。」 ごちそうを目の前に心躍るように、もっと世界にワクワクできると信じています。旅のワクワクや感動によって、日々生きることを楽しむ人であふれる世界をつくりたいです。 好きなたべものは、ベーグルとスパイスカレー。

私が大学を卒業したのは、2022年3月。当時はまだコロナ禍で、どこに行くにもマスクが必要でした。就職を機に地元・愛媛県を離れ、関東へ行くことが決まっていた私。卒業旅行は、ずっと行きたいと思いながらも機会を逃していた小豆島へ行くことにしました。

学生時代、ひとり旅が趣味になり、大きな休みがあるたびに全国各地を旅していました。そんな自分への、最後のプレゼントとして。心が動くままに旅をした、学生最後のひとり旅についてお話ししたいと思います。

1日目|サイクリングで寄り道しながら、小豆島の風を満喫

高松港までの道中、景気づけの一杯を

長田in香の香の釜揚げうどん
せっかく愛媛から香川へ行くなら、どうしても立ち寄りたい場所がありました。釜揚げうどんの人気店「長田 in 香の香」。店内では、大きな釜で麺が茹でられ、湯気が立ちのぼっています。メニューは、釜揚げうどんと冷やしうどんのみ。素材の味と伝統の製法で勝負する、これぞ讃岐うどんです。

熱々の麺を口に運ぶと、喉を通る瞬間まで温かさが伝わってきます。出汁の香りと小麦の甘みがふわりと広がり、旅の始まりにぴったりの一杯でした。小豆島へ向かう前のちょっとした寄り道も、私の旅らしい時間。お腹も心も満たされたところで、高松港へ向かいます。

■詳細情報
・名称:長田 in 香の香
・住所:〒765-0031 香川県善通寺市金蔵寺町1180
・地図:
・アクセス:JR土讃線「金蔵寺」駅から徒歩8分 / 高松自動車道「善通寺」I.C.から車で5分
・営業時間:9:00~15:00
・定休日:水・木曜日
・電話番号:0877-63-5921
公式サイト

旅のはじまり

土庄港
いよいよ小豆島へ到着。目的地はいくつか決めていましたが、まずは島に流れる穏やかな時間を味わいたくて、港の周辺を歩いてみました。迎えてくれたのは、オリーブの王冠をかたどったモニュメント「太陽の贈り物」。太陽の光を受けてきらめく海と、金色に輝くモニュメント。これから始まる旅と出会いの期待を胸に、シャッターを切りました。

太陽の贈り物

■詳細情報
・名称:太陽の贈り物
・住所:〒761-4100 香川県小豆郡土庄町 (土庄港湾内)
・地図:
・アクセス:土庄港フェリーターミナルから徒歩3分

寄り道しながらの島サイクリング

島の景色
自転車を借りて、小豆島でのサイクリングがスタート。3月の少し暖かくなった春の風を感じながら、自転車を走らせます。気になる景色を見つけたら自転車を止めて写真を撮る。オリーブオイル専門店を見つけたら、ふらりと立ち寄る。そんな寄り道を重ねながら向かったのは、エンジェルロードです。

映画の舞台としても知られる恋人の聖地。この日は雲ひとつない青空が広がり、穏やかな海に島々が浮かぶ風景は、まるで一枚の絵画のようでした。弁天島から眺める瀬戸内海は、木々の間からそっとのぞき込むような美しさ。ただその景色を眺めているだけで、心が満たされていきました。

エンジェルロード
エンジェルロードのそばにある「urara days!」では、「恋するソフト」をいただきました。香川名物のおいりがトッピングされた、かわいらしいソフトクリーム。潮風を感じながら食べるひんやりとした甘さは、サイクリングの疲れをやさしく癒やしてくれました。

恋するソフト

■詳細情報
・名称:エンジェルロード
・住所:〒761-4101 香川県小豆郡土庄町甲24-92
・地図:
・アクセス:田ノ浦映画村線バス停「国際ホテル(エンジェルロード前)」下車徒歩約5分

2日目:急遽決めたレンタカーで、もっと自由な旅を

2日目は、バスで島内を巡る予定でした。港で見つけた時刻表とにらめっこしながら、次の日の予定を立てた昨夜。バスの本数は少なく、行きたかった場所をすべて回るのは難しそう。運転免許は持っていたものの運転に自信がなく、レンタカーでの移動を諦めていました。

それでも、せっかく来た小豆島。学生最後のひとり旅。ここで新しい景色を見たい。そんなワクワクに背中を押され、レンタカーでの旅を決意しました。2日目の朝、ホテルのそばにあったレンタカーの店舗へ。少し緊張しながら受付を済ませ、鍵を受け取ります。エンジンをかけ、いざ出発。社会人になる前と同じような期待と不安を胸に、アクセルを踏み込みました。

オリーブと風車が迎える道の駅

レンタカーで最初に向かったのは、小豆島オリーブ公園。瀬戸内海を見下ろす丘に、約2,000本のオリーブ畑と白いギリシャ風車が広がる、小豆島を代表するスポットです。オリーブ畑を散策したり、小豆島ならではのお土産を選んだり。園内には穏やかな時間が流れ、植物の香りや風まで心地よく感じられました。

夢中でシャッターを切ったのは、風車とオリーブ畑が並ぶ景色。青い空によく映えるその一枚は、今でもお気に入りの写真です。

道の駅小豆島オリーブ公園

■詳細情報
・名称:道の駅 小豆島オリーブ公園
・住所:〒761-4434 香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1
・地図:
・アクセス:田ノ浦映画村線バス停「オリーブ公園口」下車徒歩約4分 /JR○○駅から徒歩○分
・営業時間:8:30-17:00
・電話番号:0879-82-2200
公式サイト

「また食べたい!」に出会ったパン屋さん

モリクニベーカリー
酒蔵の隣にあった資材倉庫をリノベーションして誕生したという「MORIKUNI ベーカリー」。外壁のサビにも味わいがあります。看板商品は、酒米の米粉で作った小さなコッペパンです。おすすめの「甘焦がし醤油あげパン」をひとつ購入し、その場でいただきました。

カリっ、じゅわ、じゃり。柔らかく米粉の味わいのあるコッペパンに、香ばしい醤油と砂糖の甘み。手づくりならではのやさしさまで伝わってくるようでした。「明日の朝も買いに来よう。」そう決めるほどのおいしさでした。

ベーカリーのコッペパン

■詳細情報
・名称:MORIKUNI ベーカリー
・住所:〒761-4426 香川県小豆郡小豆島町馬木甲1010-1
・地図:
・アクセス:田ノ浦映画村線バス停「馬木」下車徒歩約2分
・営業時間:9:00~17:00(L.O 16:30)
・定休日:水・木曜日
・電話番号:0879-61-2077
公式サイト

別世界が広がる映画村

二十四の瞳映画村
二十四の瞳映画村は、映画を観たことがなくても、一度訪れてみたいと思っていた場所でした。1987年の撮影当時に使われた木造校舎には、黒板や味わい深い床板、小さな木の椅子がそのまま残されています。椅子に腰掛け、海の景色を眺めたり、目を閉じて深呼吸をしてみたり。当時の撮影風景や、この場所で流れてきた時間に思いを巡らせました。

食事処でいただいたのは、昔ながらの給食を再現したメニュー。カレーに揚げパン、牛乳という、昭和の頃人気だった給食を楽しむことができます。私が小学生だった頃は揚げパンのメニューはなかったので、とても新鮮な気持ちで味わいました。

給食セット
ひとり旅のため自分が写っている写真はほとんどありませんが、撮影した写真はすべて私の心が動いた瞬間や風景を切り取ったもの。私の姿は写っていなくても、心動いた瞬間は写真として残っています。

■詳細情報
・名称:二十四の瞳映画村
・住所:〒761-4424 香川県小豆郡小豆島町田浦甲931
・地図:
・アクセス:田ノ浦映画村線バス停「田ノ浦映画村」下車徒歩約1分
・営業時間:9:00~17:00
・電話番号:0879-82-2455
・料金:大人850~1,000円 小人430~500円(時期によって異なります。詳細は公式サイトにてご確認ください)
公式サイト

人の手がつないできた醤油づくりと蔵元

蔵元
小豆島では、「木桶仕込み」による天然醸造の文化が今も受け継がれ、約20軒の蔵元が残っています。そのひとつ、150年以上の歴史を持つ「ヤマロク醤油」へ。道に迷いながらも曲がり角を抜け、たどり着いた蔵元。私と同い年だというお兄さんが、案内をしてくださいました。

天然もろみ蔵に入ると、私の身長をゆうに超える大きな木桶が並んでいました。人の手と自然の力で、今も時間をかけて育てられる醤油。その力強さに、島のものづくりの奥深さを感じました。

見学のあとは、併設された「やまろく茶屋」へ。いただいたのは、「アイスクリーム 鶴醤かけかけ」。お好みで醤油をかけて食べると、アイスの甘さに醤油の旨味と香ばしさが重なる、まさに醤油が主役のスイーツでした。

醤油アイス

■詳細情報
・名称:ヤマロク醤油
・住所:〒761-4411 香川県小豆郡小豆島町安田甲1607
・地図:
・アクセス:南廻り福田線バス停「安田上」下車徒歩約7分
・営業時間:9:00~17:00
・電話番号:0879-82-0666
公式サイト

3日目|最後の小豆島ドライブ

食も自然も島の恵み

旅の最終日も、レンタカーで島を巡ります。昨日訪れたベーカリーへ立ち寄り、もう一度あげパンを頬張ってから向かったのは、「こまめ食堂」。小豆島でもっとも訪れたかった場所のひとつです。朝一番に電話で予約をしていました。

「棚田のおにぎり定食」を注文。運ばれてきたのは大きなおにぎりとかき揚げがメインのボリューム満点の定食です。その大きさに思わず目を見張ります。いびつな形のおにぎりやかき揚げは、まさに手づくりそのもののあたたかさを感じさせてくれます。目の前に広がる棚田を眺めながらいただく定食は、島の恵みを隅々まで味わいたくなるおいしさでした。

おにぎり定食
食堂から歩いてすぐの場所には、「中山千枚田」があります。人の丁寧な手仕事と、島の豊かな緑が織りなす風景。自分の運転でここまでたどり着いたという達成感も重なり、その景色はいっそう特別なものに感じられました。時間を気にすることなく、その場所に身を置き、心が満たされるまで景色を眺めていました。

中山千枚田

■詳細情報
・名称:こまめ食堂
・住所:〒761-4303 香川県小豆郡小豆島町中山1512-2
・地図:
・アクセス:中山線バス停「春日神社前」下車徒歩約1分
・営業時間:11:00~15:00 ※ラストオーダー14:00
・定休日:火・木曜日
・電話番号:080-2984-9391
公式サイト
■詳細情報
・名称:中山千枚田
・住所:〒761-4303 香川県小豆郡小豆島町中山1487
・地図:

未来へ進む私の背中を押してくれたシンパク

宝生院
最後に訪れたのは、小豆島八十八箇所霊場第54番札所・宝生院。境内には、日本最大の「宝生院のシンパク」があります。樹齢約1,600年。小豆島の空へ向かって大きく枝と葉を広げる姿と、長い年月を生き抜いてきた大きな幹。その迫力に圧倒されるとともに、これから社会に飛び立とうとしている自分も勇気をもらえた気がしました。

「これからも、自分が信じた道を歩いていけますように。」そんな風に祈りながら、小豆島をあとにしました。

宝生院のシンパク

宝生院のシンパク

■詳細情報
・名称:小豆島霊場第54番 宝生院
・住所:〒761-4122 香川県小豆郡土庄町上庄412
・地図:
・アクセス:土庄港から車で約12分
・参拝時間:8:00~17:00
公式サイト

小さなレンタカーがくれたもの

レンタカー
2日間、私と一緒に旅をした赤色の小さなレンタカー。小回りが利き、運転にまだ不慣れだった私にぴったりの車でした。島を離れる頃にはすっかり愛着が湧き、返却する前に思わず写真を一枚。いつか島で聴きたかった音楽を聴きながら走った道のり。

運転が得意ではない私でも、自分の力で島を巡ることができました。小さなレンタカーは、社会へ出る前の私に、そっと自信をもらえたような気がします。

旅の楽しみ方は、私の生き方そのもの

学生最後のひとり旅だった卒業旅行。あれから4年以上が経ちましたが、そのとき見た景色や感情は、今でも鮮明に覚えています。社会人になる前という節目だったこともあり、この旅では何度も、自分の心が向くほうへ足を運びました。気になる場所で寄り道をし、もう一度食べたいものを食べ、時間を忘れて景色を眺める。

振り返ってみると、それは旅の3日間だけではありませんでした。子どもの頃から、進学も、仕事も、ものづくりも。私はいつも、自分自身の心が動く道を選んできました。小豆島で過ごした時間は、それがずっと変わらない私の生き方なのだと、気づかせてくれた旅だったように思います。

たどり着く場所はわからなくても、自分の心が動き、ワクワクするほうへ。あの頃も、今も、その先も。私はきっと、そんなふうに旅をしながら、生きていくのだと思います。

※本記事の情報・画像は2022年3月時点のものです。最新の店舗・施設情報は、各公式ホームページをご確認ください。

All photos by Yano Akari

ライター

旅して食べて、撮って書くひとです。 わたしの生きるテーマは「人生は、ごちそうだ。」 ごちそうを目の前に心躍るように、もっと世界にワクワクできると信じています。旅のワクワクや感動によって、日々生きることを楽しむ人であふれる世界をつくりたいです。 好きなたべものは、ベーグルとスパイスカレー。

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