歴史ある街並みや世界遺産を巡ること、そして息をのむような絶景に出会うこと。それが私の旅の楽しみだ。
そんな私が今回訪れたのは、東京・品川から約1~2時間でアクセスできる横須賀・三浦半島。近代日本の歴史に触れ、異国情緒あふれる街を歩き、さらに大好きな離島やダイナミックな海岸風景まで楽しめると聞き、公共交通機関だけを利用して週末の日帰り旅へ出かけてきた。
見出し
日本近代化の原点へ。ヴェルニー記念館で横須賀の歴史を知る
まず向かったのは、JR横須賀駅から徒歩すぐのヴェルニー記念館。
海風が心地よく吹き抜けるヴェルニー公園内にあり、園内は色鮮やかな花々が咲き誇る美しいロケーションだ。
ヴェルニー記念館の外観。観光案内所も兼ねており無料で入ることができる
この施設は、日本の近代化を支えた横須賀製鉄所を建設したフランス人技師・ヴェルニーの功績を後世へ伝えるために建てられたもの。館内には、実際に横須賀製鉄所で稼働していたスチームハンマー2基が展示され、国の重要文化財にも指定されている。
3トンハンマーの大きさにびっくりする
目の前にすると圧倒されるほど巨大な機械からは、日本の近代化がここ横須賀から始まったことを実感できる。横須賀を訪れるなら、まず立ち寄りたい場所だ。
住所:〒238-0045 神奈川県横須賀市東逸見町1丁目1
地図:
営業時間:9:00~16:00
URL:https://yokosuka-kanko.com/verny_information/
日本にいながら海外気分。横須賀ならではの異国情緒を歩く
その後、街を歩いていると、外国人の姿が多く、飲食店やショップの看板にも英語表記が目立つことに気づいた。日本にいながら海外へ来たような不思議な感覚になる。
不動産屋やレストランなど英語表記の看板が多い
その理由は、すぐ近くにある米海軍横須賀基地。
約2万人のアメリカ人が暮らすこの街では、日本文化とアメリカ文化が自然に溶け合い、他の港町にはない独特の雰囲気を生み出しているのだ。
日本海軍の歴史に触れる。横須賀を代表する三笠公園へ
続いて訪れたのは、横須賀を代表する三笠公園。
日露戦争の英雄の東郷平八郎の銅像の後ろに展示されている戦艦三笠
ここには、日露戦争で連合艦隊司令長官を務めた東郷平八郎の銅像と、実際に乗艦した戦艦「三笠」が保存されている。
園内では音楽に合わせて噴水が踊り、アート作品も点在するなど、歴史だけでなく景観も楽しめる市民の憩いの場となっていた。
住所:〒238-0003 神奈川県横須賀市稲岡町82
地図:
営業時間:8:00〜21:00(4月〜10月)、9:00〜20:00(11月〜3月)
URL:https://www.kanagawaparks.com/mikasa/
東京湾唯一の自然島・猿島で要塞跡を巡る
そして、三笠公園のすぐそばからフェリーで約10分。東京湾に浮かぶ唯一の自然島、猿島へ向かう。
約10分の東京湾クルーズはあっという間だ
かつて首都防衛の要塞として利用されていた島には、砲台跡や弾薬庫、レンガ造りのトンネルが今も残り、遺構と自然が織りなす幻想的な景色が広がる。
写真映えの空間が広がっている
苔むしたレンガに木々が覆いかぶさる様子は、まるで映画のワンシーンのよう。木漏れ日が差し込む晴れの日は、さらに神秘的な雰囲気に包まれる。
ひんやりとしたトンネル内も神秘的な空間が広がっている
よこすか海軍カレーとネイビーバーガーで横須賀グルメを満喫
歩き回ってお腹が空いたら、横須賀名物も外せない。
「よこすか海軍カレー」は、1908年発行の『海軍割烹術参考書』をもとに再現された一皿。カレーライスに牛乳、サラダを添えるのが伝統のスタイルだ。
牛乳やサラダは栄養バランスを考えての組み合わせとのこと
イギリス海軍のシチューを参考に誕生し、揺れる船内でも食べやすいよう、小麦粉でしっかりとろみを付けたことが現在の日本のカレーライスの原型ともいわれている。どこか懐かしさを感じる優しい味わいで、歴史も感じられるご当地グルメだった。
もうひとつの名物が「ヨコスカネイビーバーガー」。
肉肉しさがTHEアメリカという感じだった
米海軍から伝わったレシピをもとに作られ、牛肉100%のパテは驚くほど肉々しくジューシー。ソースに頼らなくても十分に旨みを感じられる。ナイフやフォークは使わず、大きな口で豪快にかぶりつく。それが本場アメリカ流の楽しみ方だ。
食後は濃厚なチェリーチーズケーキで締めくくれば、横須賀ならではのアメリカ文化を最後まで満喫できる。
甘さも際立ち、別腹でペロッと食べてしまった
住所:〒238-0041 神奈川県横須賀市本町1丁目9
地図:
営業時間:11:30~24:00(不定期に変更あり)
URL:https://www.cocoyoko.net/gourmet/yokosukashell.html
三浦半島最南端・城ヶ島で出会う大自然の絶景
横須賀中央駅から京急線とバスを乗り継ぎ約1時間。旅の締めくくりに訪れたのは、三浦半島最南端に浮かぶ城ヶ島だ。
周囲約4kmの島には、荒々しい断崖絶壁や広大な岩礁が広がり、横須賀市街とはまったく異なる雄大な自然が待っていた。
岩礁に叩き付く波が想像以上に荒々しい
海沿いを歩くと、岩場へ勢いよく打ち寄せる波の迫力に思わず足を止める。都心からわずか1〜2時間とは思えないほど、自然のスケールに圧倒される。
そして、この島を代表する絶景が「馬の背洞門」。馬の背中のような形をした天然の岩のアーチで、長い年月をかけて波が削り出した自然の芸術作品だ。
城ヶ島は『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で二つ星を獲得した景勝地でもあり、目の前に広がる景色はまさに圧巻だった。
自然にできた天然の空洞は必見の写真スポットだ
整備されたハイキングコースや、岩礁スレスレのルートなど様々な歩道があり、城ヶ島を間近で感じることができる。また、天気が良ければ伊豆大島も見渡すことができるため展望台からの景色も存分に楽しんで欲しい。
城ヶ島には猫が多数生息しており、猫好きにもたまらない場所だった
都心から1〜2時間で出会う、想像以上の非日常
歴史、異国情緒、そして雄大な自然。横須賀・三浦半島には、そのどれかひとつではなく、すべてが心地よい距離感で共存している。
日本の近代化の足跡をたどり、異国文化が息づく街を歩き、フェリーで離島へ渡り、最後は波音が響く絶景にたどり着く。
猿島は苔とレンガの遺構が本当に美しい
これほど表情豊かな旅が、都心からわずか1〜2時間で叶う場所はそう多くない。
帰りの電車に揺られながら、「また季節を変えて歩いてみたい。」そんな気持ちが自然と湧いてきた。
忙しい毎日のすぐそばに、こんな非日常が広がっている。横須賀・三浦半島は、そんなことを改めて教えてくれる場所だった。
All photos by Tamami Mizunoya