ポルト
ライター

旅好き婦人科Nurse|世界遺産検定準1級|女子旅&ひとり旅がメイン|24ヵ国60都市|仕事も旅も全力|有給フル活用で旅に出ています

30カ国を旅してきた今でも、一番忘れられない旅がある。

それは7年前。まだ訪れたことのない場所へ行けるワクワクと、不安を抱えて飛行機に乗った、初めての海外ひとり旅だった。

スペインとポルトガルを周遊したあの数日間は、美しい景色以上に、「自分にもできる」という小さな自信を私にくれた。あの日の一歩が、今の私の旅の原点になっている。

初めての海外ひとり旅。不安しかなかった出発前

英語も得意じゃなく、極度の方向音痴の私

学生時代、好きな科目は英語だったが、話すこと聞くことはとても苦手だった。海外旅行にハードルを感じる理由のひとつが、「英語への不安」ではないだろうか。私もそのひとりだった。これまでの旅はツアーだったり、日数が短かったり、友人が英語を話してくれたり、日本語が通じる国もあったりと、そんなに積極的に英語を話す場面はなかった。

ただ、今回は14日間という長期旅行で、しかも誰にも頼れない海外ひとり旅。そして、カタコトの英語すら通じるか分からないヨーロッパ圏。結果的に、ホテル以外では現地の人に話しかけた際、全く英語が通じなくて焦ったことがあった。当時は今ほど翻訳アプリが有能ではなく、そんなに使った記憶があまりない。

旅パッキング
また、無知は怖いと思い、スペインとポルトガルのガイドブック、地球の歩き方を購入したのだが、買って満足して、今思えばそんなに読んでいなかった気がする。地図も読めない私は、今回友人の後ろについて行くこともできないため、スマホが唯一の頼りだった。

それでもスペイン・ポルトガルを選んだ理由

渡航先にスペインとポルトガルを選んだのは、スペインのサンセバスチャンに行くことが決まったからだった。友人からサンセバスチャンの魅力について語られ、行けるメンバーで行こうという話になり、時間に自由の効くフリーランス、休みが限られている会社員と、バックグラウンドがさまざまだった。そのため、集合する日にちだけを決めて、現地集合現地解散でサンセバスチャンに行くこととなった。

サンセバスチャン
サンセバスチャンはスペイン北部のバスク地方にあり、メインどころの都市から離れている。せっかく高い航空券を出して遠いところへ行くのなら、たった数日で帰国するのはもったいないと思い、私はスペインとポルトガルを周遊することにした。スペインは2度目、ポルトガルは初めての訪問だった。

初めての海外ひとり旅で経験したトラブルと成長

1ヶ月前に、すべてのホテルと往復航空券、列車、現地の観光ツアーの予約を終えた。ほぼ毎日都市を移動するという、今思えばドン引きするくらいの詰め込みスケジュール。14日間のお休みを確保したため、ガイドブックでいろんな都市を知り、あそこもここも、という私の欲張りな気持ちがそうさせていた。

ルフトハンザ航空
そして出発の日。じつは飛行機も1人で乗ったことがない。最初の目的地はスペインのビルバオ。ビルバオ空港へ行くのに、トランジットが2回。飛行機が遅延しないか、トランジットがうまくできるか、時間内にゲートに辿り着けるか、ロストバゲージしないか、もう不安しかなかったが、無事にビルバオ空港に到着した。友人と空港で合流して、一気に安堵の気持ちが芽生え、不安な気持ちは安心に変わっていった。

心が折れそうな出来事の連続

サンセバスチャン
友人とのビルバオ、サンセバスチャン観光を終え、ここからいよいよ海外ひとり旅へ。サンセバスチャンから、マドリード、コルドバ、グラナダ、マラガ、フリヒリアナ、セビーリャとスペインを南下し、ポルトガルへ陸路で抜けるルート。

ここから心が折れそうな出来事がいくつかあった。

1つ目はグラナダでの予約キャンセル。グラナダといえば世界遺産のアルハンブラ宮殿が有名。事前に予約をしていたのだが、オーバーブッキングという理由で前日にキャンセルメールが届く。予約するのが遅くて、どこのツアー会社も満席で、なんとか空きを探して見つけたツアー会社で予約した経緯ではある。

とはいえ、日本ではありえないよな……と思いつつ、これが海外の洗礼か。きっとまた来いってことだ!とポジティブに変換して、グラナダ観光を楽むことにした。

グラナダ
2つ目は暴風雨に見舞われたこと。スペイン観光でサンセバスチャンの次に楽しみにしていたのはフリヒリアナ。スペインで白い街並みといえば、アンダルシア地方にあるミハスをイメージする人が多いと思うが、じつはフリヒリアナはスペインでもっとも美しい村に選ばれており、どちらに行くか迷ったが、フリヒリアナを選んだ。マラガを拠点にバスを2本乗り継ぐという行きにくい場所ではあったが、ガイドブックの白い可愛らしい街並みをイメージして向かった。

フリヒリアナ
到着する頃、急に雨が降り始めた。バスを降り、白い街並みを目にして、長かったけどようやくたどり着いた達成感でいっぱいだった。階段を登っていくと迷路のような小道がひたすら続く。せっかくの街並みが天候が悪くて台無しだ、と思いながら、折り畳み傘を片手に、もう片方の手でスマホで写真を撮っていた。

着いて10分くらいたった頃、小雨だった雨が激しい豪雨に。どこか店内に入ろうと思ったが、飲食店やお土産屋さんらしきお店が全然開いていない。人も全然見かけない。あとで調べたらイースター明けで休業だった様子。

フリヒリアナ
極度の方向音痴の私は、Googleマップもうまく起動しなくなったことで、一気に不安に襲われた。雨が降ったことで、気温も下がり、寒くなり、トイレに行きたくなるもトイレすら見つからない。とにかく早く戻ろうと思い、階段を降りて、なんとかバス停に戻ることができ、ほっとした。

リスボン
ポルトガルのリスボンに着いた初日も天候に恵まれなかった。ベレン地区にある世界遺産であるジェロニモス修道院や発見のモニュメントを見に来た頃、いきなりの暴風雨。傘もさせないほどの強風に見舞われて、全身びしょ濡れになり、電車に乗ってホテルに帰った。

フロントでドライヤーを借りて、水没したスニーカーを乾かしながら、一気に心細い気持ちになった。もう日本に帰りたい……そんな気持ちさえ、頭をよぎるくらいだった。

海外ひとり旅の後半戦に突入していたのだが、今までずっとひとりで気を張っていたことや旅の疲れも重なったのだろう。寒いし、お腹も空いたし、元気にならなきゃ!と思い、半乾きのスニーカーを履いて、ホテルのスタッフの方が教えてくれたレストランへ出かけた。

あとから知ったのだが、その店は地元でも人気のレストランだったらしい。ほぼ満席だったが、1人だったこともあり、運よく予約なしで入ることができた。

リスボン
おすすめの料理と、ポルトガル伝統のポートワインを注文した。

温かい料理が運ばれてきた瞬間、張りつめていた気持ちがふっとほどけた。美味しさにほっとしたのか、思わず泣きそうになった。さらに、女性の店員さんがひとりで来ている私を気にかけて、何度か優しく話しかけてくれた。

「ひとりでも大丈夫。」

そう思えたのは、美しい景色ではなく、一皿の料理と、異国で出会った何気ない優しさのおかげだった。

その夜、ホテルへ戻る頃には、不安でいっぱいだった気持ちはすっかり軽くなっていた。「また明日も旅を楽しもう。」そう思えたことを、今でもよく覚えている。

ひとりで過ごした時間が、心地良かった

ひとり旅はホテルも移動もご飯もひとり。ここまでのエピソードを聞いていると、さびしそう、不安だ、海外でひとり旅はやっぱり怖い、そう思うかもしれない。

リスボン
ただ、私はそれ以上にひとり旅のワクワク感や達成感の方がはるかに上回っていた。今日この日をどう過ごすか、何を食べるか、いつ休憩するか、全部自分で決めていい。すべてが自由。

初めて訪れて見た景色に感動したり、夢中で何枚も写真を撮ったり、うまく意思疎通できているか分からないけど現地の人とおしゃべりしたり、そんな非日常の新たな経験の積み重ねが私にはかけがえのない貴重な財産となっていた。

美しい景色より、忘れられない瞬間

スペインとポルトガルは見るものすべてが美しくてきれいで可愛らしくて、今でもはっきりとその景色が目に焼き付いている。アルバムにある写真を見返すと、思ったほど写真を撮っていなくて、今の私からしたら、なんでもっと撮らなかったんだろうと思う。

ポルト
あの瞬間は写真を撮ることよりも、自分が行くと決めた場所に立ち、その景色を自分の目で見られたこと自体が嬉しかった。今では旅先で何百枚も写真を撮る私だけど、あの旅だけは写真以上に、胸が高鳴った感覚のほうを鮮明に覚えている。

帰国して気づいた。「変わった」のは世界じゃなく、自分だった

私にとって初めての海外ひとり旅を終えて、長いようで短いようなそんな14日間だった。いろんなことがあったけど、宝物にしたい旅の経験ができた。

旅へのハードルが一気に下がった

最初の海外ひとり旅でヨーロッパ周遊14日間を経験したことで、行きたいと思えばどこへでも行けるという気持ちになった。初めての海外ひとり旅は不安も多かったが、一歩踏み出してみると、「意外となんとかなる。」と思える場面のほうが多かった。

アヴェイロ
じつは帰国して2週間後に、またひとり旅でマレーシアに行った。ベトナムでトランジットだったのだが、1つ目のフライトが遅延して、トランジットに失敗し、次のフライトに間に合わず、置いていかれた。さすがに焦ったが、長いひとり旅を終えたばかりの私はなんとかなる、という気持ちでそのトラブルも乗り越えることができた。

海外はトラブルがつきものだが、そんな時こそメンタルがいちばん大事だと思う。海外ひとり旅の経験が私を強くさせてくれたと思っている。どんなことがあっても、なんとかしてきたという自負があるからだ。

あの旅が、今の私につながっている

今では海外渡航歴は30カ国を超えた。コロナ禍を経て、3年ほど前から旅のインスタグラムを始めた。たくさんの国へ訪れては旅先の魅力を発信し、海外へ行く人を増やしたいという気持ちがどんどん芽生えていった。

コスタノヴァ
そして、旅に関わる仕事がしたいと思うようになり、本業で会社員をしながらも、このように旅記事を書いたり、旅のPR案件、トラベルコンシェルジュなどの仕事もするようになった。

振り返ると、7年前のあの海外ひとり旅こそが、今の私の人生の原点だった。

人生を変えたのは、大きな決断じゃなかった

7年前の私は、この旅が人生の始まりになるなんて知らなかった。ただ、ほんの少しの勇気を出しただけ。

人生を変えたのは大きな決断じゃなかった。あの日、行ってみよう!と思えた小さな一歩だった。

30カ国旅した今でも、この旅だけは特別だった

30カ国旅した今でも、一番忘れられない旅は、いちばん景色がきれいだった旅ではない。ぜいたくだった旅でもない。

いちばん勇気を出した旅だった。

あの日の”小さな一歩”が、今の私につながっている。

もし今、海外ひとり旅に少しでも興味があるなら、その一歩はあなたの人生を少し変えるきっかけになるかもしれない。

All photos by Yuka Sano

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