こんにちは、TABIPPO編集部です。2020年9月14日(月)から2020年10月12日(月)まで「#私たちは旅をやめられない」コンテストを実施しています。
応募媒体は「note」。指定の#タグと共に、自由な表現で “海外への旅” への思いを投稿いただくコンテストです。
同時に、クリエイターによる作品とコンテストの受賞作を掲載する特集もスタート。様々な表現での、それぞれの思いをぜひご覧ください。
今回はフォトグラファーとして活動されている6151さんの作品をご紹介します。
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お元気ですか、6151です。
旅についての想いをお話しする時、決まって浮かぶ一文がある。
「そもそも家が大好きな出不精の引きこもりだから」
写真家として活動を始めるまでのわたしの人生に「旅」なんて言葉は一文字もなかった。大袈裟に聞こえるかもしれないが。そんな人間も世の中には存在する。
飛行機は苦手(高所怖い)公共交通機関も苦手(何故か目的地に辿り着けない)、車の免許は持っていない(車を動かす自信が微塵も無い)、地図が読めない(いまだにこれはよく分かってない)、道が覚えられない(ので一人で動けない)。
移動は徒歩か自転車、その距離圏内を行き来するだけの平々凡々な人生の景色。代わり映えしない日常の光景に安心しながら生きていた。
こうして並べてみると「わたしが旅に出ない理由」なら腐る程ある。おうち大好きだし。日本語しか理解出来ないしいまだに英語が薄らも喋れない。
「いつか物語の冒険者のように一人旅が出来るようになれたら素敵だ」と脳裏を過ぎっても旅に出ない理由に全てをかき消される。
こんな自分にはそんな格好の良い生き方も憧れの光景も到底手の届かない場所の話できっと一生、無縁。「いつか」は来ない恐らく。
そう諦めきっていたわたしが旅を生業にして生きるという選択をすることになった発端はInstagramだった。
今に至るフリーランスフォトグラファーとして活動を始めるきっかけにもなったInstagramに日々の写真を載せていた事で旅撮影の依頼を頂く事が増えていった。
自転車圏内、自宅の徒歩圏内にある他愛ない光景を撮っては投稿する日常が一変、旅先で出逢う光景を写真に収めて伝えるという日々に変わっていった。
なんて時代なんだ…と今でも思うしそれにとても感謝している。
全く異なる職種に勤めていた事、写真家として食うにはスキルも経験もゼロな事、そもそも業界の知識がない事、コミュ障な事、遠方への移動が難しい事。
その全てを特に根拠も無く気分だけで「なんとかなる。する。」と一蹴した事。それまでの自分じゃない誰かになりたいと思った事。
出来ない理由ばかり並べている自分の手を引いて世界を見に行こうと思った。世界が背中を押してくれる、わたしは勇気を出して一歩踏み出すだけだった。
先を考えると不安しかないし上手くいく確証もない。でも見てみたかったんだよね、今の自分を。見てほしかった。臆病で何処にも行けなかった過去の自分に世界は美しいって事を。
そんなわたしが撮る、旅の光景。今もまだ電車は苦手で地図はまともに読めない。幸いスマホのおかげで多くの困難が解消されて最近はひとりでも結構遠出が出来るようになった。
助けてくれる友人も会いたい人も増えたんだよ。君が踏み出した一歩で、僕らの世界は彩られたんだ。
という未来への置き手紙を記して。旅立つ僕らに届きますように。
旅に出る理由なんてわたしにはひとつで十分だったけど、あなたはどんな理由で旅に出るのかなと想像しながら次の旅に向けた準備をしておこうと思う。
写真はベルギーの古都ゲントの街並みと聖バーフ大聖堂。祈る事は静寂の中でシャッターを切る瞬間と似ている。
沢山の人がここで祈りを捧げてきたのだろうと想像しながら窓から差し込む光を見上げた。またこの地を訪れる事ができたら、天気を気にしながらゆっくりと街を眺めて過ごしたい。きっと雨でも晴れでも良い天気。
All photos by 6151
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「#私たちは旅をやめられない」特集でその他の作品も掲載中!
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受賞作の発表までは、様々な表現の作品を掲載していきますので、ぜひ応募の参考にしてくださいね。コンテスト概要はこちら。