最近、よく耳にする「SDGs(エスディージーズ)」という言葉。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、貧困や気候変動など、世界が抱えるあらゆる問題を解決し、持続可能な社会をつくるためのビジョンのことをいいます。
そんなゴールが世界各国で掲げられている今、私たちにできることは何なのか。「SDGs」について、TABIPPOは考えます。
MONKEY MAJIKから学ぶ、「環境問題」に取り組む姿勢
今回はインタビューの前編として、彼らが宮城県に住み続ける理由、そして「SDGs」の中で彼らが関心を寄せている「環境問題」について語ってもらいました。
(左から)タックス、メイナード、ブレイズ、ディック
「SDGs」の項目で取り上げられる「環境問題」へのアプローチとは、海の資源を持続可能な方法で利用したり、陸の生態系を保護しつつ再生させたり…と、多くの生命が存続できるようにすることをいいます。
例えば、ペットボトルなどのプラスチックごみが海を汚染して、それを魚たちがエサだと誤って食べないように、マイボトルを持参することや、植林活動へ積極的に参加することなどが、一般的に見られるアプローチです。
そんななか、アーティスト活動の傍ら、養蜂家やワイン醸造家としての一面を持ちながら、「環境問題」についてアプローチするメンバーがいるMONKEY MAJIKに、どんな活動をしているのか聞いてみました。
ーーまず、みなさんが宮城県に住みながらアーティスト活動を続けている理由を教えてください。
メイナード:すごくシンプルな回答なんですが、僕ら兄弟はカナダで生まれ育ったので、同じく自然豊かな宮城県が、ちょうど居心地のいい場所だと感じているからです。
ブレイズ:そう。しかも、レーベルから「東京に来てください」と一度も言われたことがないんです。僕らにとって「宮城県に住んでいること」は、「ここが生まれ故郷だから住んでいる」というくらいに当たり前なことで。そのおかげで、リラックスして活動を続けることができているんです。
――ブレイズさんは、ワインづくりをされていますが、それも東北に住み続ける理由なのでしょうか。
ブレイズ:そうなんです。僕が行っているワインづくりは、大都会ではすごく難しくて。自然に囲まれている宮城県だからこそ、その土壌を活かしたワインをつくることができるんです。アーティスト活動と並行して、ワインづくりを行っているのは、相乗効果でより“クリエイティブ“になれるからです。
メイナード:すごくわかる。ブレイズはワインづくりをしているけれど、僕は、養蜂を行っています。カナダにいる親戚が養蜂家で、いつか僕もやりたいと思っていたので、同じ興味を持っていたメンバーのタックスと一緒に始めたんです。
――相乗効果でクリエイティブになるというのは、どういうことでしょう。音楽とワインづくり、音楽と養蜂業、何が共通しているのでしょうか。
メイナード:ワインも養蜂も音楽も、何もないところから何かを生み出さないといけないという点で共通しています。ゼロから何かを生み出す瞬間は難しいけど、タネをまけば、何かが生まれることは間違いない。ものづくりはみんな一緒だと思います。
タックス:僕らもやればやるほど、奥が深いなって思うんですよ。勉強させられることが本当に多い。この「クリエイティブ」って、「環境」を考えることに直結していると思っています。
環境を循環させていくことって、とても大切なことで。蜂は花の受粉を助け、その集めた花の蜜からハチミツが生成されていくように、自然を循環させている。僕たち人類もこの循環を大切にするべきだし、知るべきだと思うんですよ。知らなかったことを知るという「知の循環」も大切なことですよね。
ーー循環をキーワードに、見えてくるものがありますね。
ディック:僕も、タックスとメイナードがハチミツづくりをやっている話を聞くんですよ。知らなかったことや、気づきがたくさんありますよね。
ちなみに、音楽活動とハチミツづくりのことを考えてみて、1つ思うのは、ハチミツづくりには明らかな敵がいるんですよ。スズメバチとクマ。でも音楽って別に敵はいないじゃん?
メイナード:あるよ、風邪を引くこと!あと、二日酔い!
ディック:(笑)!
ブレイズ:いやいや、敵は自分自身だよ。
メイナード:お〜、いいこと言うね。
ブレイズ:音楽の活動や、ぶどうを育てること、ワインを作ること、養蜂業も全部そうだと思うんですが、一番の敵は、やはり自分ですね。
……この20年ぐらい、ずっと面白い音楽を作っていたし、全てのジャンルにアプローチして、「MONKEY MAJIK」っていう一つのジャンルを作ってきたと思っています。でも、作らないと生まれない。当たり前に曲は作ることができるけれど、いい曲を作ることはすごく難しい。自分の作ったものを越えようとしないといいものは生まれない。
これまでにやってきた活動と、今の活動は全く違うと思うんです。昔は、音楽で食べたいという思いでやってきたけど、今は、本当に人の心に触れるような曲を作りたい、意味のあるものを作りたい。そういう思いなんです。僕はそういう思いを持って、ワインの活動もしています。自分のためじゃなくて、コミュニティのために。
震災があったけれど、今、日本はめちゃくちゃ発展していて、訪日外国人も増えているし、これから東京五輪もある。だけど、なぜかみんな東北まで来ないんですよ。ツーリズムとしてやってくる人たちの年齢を見ると、若い人はまだまだ少ない…。
やっぱり震災のことや、福島でのスティグマがまだ残っているかもしれないですね。そのイメージがあるから、みんなにきちんと見せたい。「いいよ、東北!」って。「ぜひ来てくださいね!」って。僕らはそう思って、あらゆる活動を続けるよ。大好きな東北にも循環を!
All Photos by Kazuna Hanada
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自然豊かな東北で暮らし、ワインづくりや養蜂といった、自然の循環を体感できるような活動を通して、循環の輪の中の一員として生きているMONKEY MAJIK。
「ワインも養蜂も音楽も、何もないところから何かを生み出すという苦労はあるけれど、それに勝る喜びはない。タネを撒かないと、行動しないと、結局何も始まらない」。
この言葉からもわかるように、循環を自分たちに留めるだけでなく、積極的にアウトプットすることや、知らないことをちゃんと掘り下げて考えていくことが大切なのだと教えてくれました。
このように「SDGs」は、難しい勉強や大規模な活動が決して必要なわけではなく、「環境問題」に触れるのも日常生活のちょっとした一歩からでOKなのです。みなさんもMONKEY MAJIKにとっての「循環」が自分自身でいうところの何にあたるのか、考えてみるところからスタートさせてみてください。
(後編に続く)
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