コロナ禍、このスタイルは間違っていないと実感した
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2020年はGoToトラベルも相まって、副業のライター収入は前年より増加しました。しかし2021年の見通しが明るいとは言えません。案件自体が減っており、インバウンドが期待できない以上、観光やレジャー関連の執筆は厳しくなっているのが現状です。
なので今は食わず嫌いせず、今後のために実績作りに励むようにし、隙あれば隣接ジャンル(アウトドア・地方創生・食など)への進出を目論んでいます。
トラベルライターが本業だと、こう悠長なことを言っていられないでしょう。ライターだけなら、自分一人が食べることに精一杯。まして家族を養う余裕などありません。
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一方で、本業の会社は事業や収益の幅が広く、家電や家庭用ゲーム機に使われる部品なども手がけています。そのため、経済に大きな打撃を与えたコロナ禍でも、全体の売上は前年とほぼ横ばいでした。
その結果、ボーナスも大きく下がらず、生活の基盤となる基本収入にほとんど影響はありません。また、福利厚生を受けられる点も大きなメリットです。私の会社では、借上社宅の家賃負担が月2万円程度と、経済的な支えになっています。
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結果的に、自分のしたいこと=トラベルライターも継続することができています。つまり、本業を補填するための副業、副業を維持するための本業という関係性が成立しているのです。
また、もしフリーランスライターになってしまえば、キャリアがリセットされます。今後の将来がどうなるか不明瞭な中で、選択肢の幅を残しておくことは非常に大切だと痛感しています。切り捨てれば、二度と戻れない、あるいはかなり戻りにくいからです。
サラリーマンとフリーランスの両方を行き来できる”強み”
会社員(※伝統的な大企業)…給料は決められている。安定しているが、物理的・時間的制約、時に窮屈さが伴う。
フリーランス…給料は自分次第。自由だが、責任はすべて自分にある。
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どちらの良さも理解した上で、私は会社員とフリーランスの両方と関わっています。一見中途半端に思えるかもしれませんが、まるでドラえもんの“どこでもドア”のように、柔軟に立ち位置を変えられることは、最近になって大きな強みだと実感するようになりました。
会社員・フリーランス、双方の価値観に“ある程度”寄り添えるからこそ発信に説得力が生まれます。例えばフリーランス視点だけでワーケーションを紹介しても、物理的・時間的制約のある会社員には響きにくいでしょう。しかし、会社員の苦労や制約を理解した上で発信すれば、多くの人に共感してもらいやすくなるのです。
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世の中のスタンダードに身を置きながらも、型にはまらない働き方にも挑戦する。これが大学卒業後、4年間あがいて見出したパラレルキャリア=“大手企業の会社員×トラベルライター”というスタイルなのです。
とはいえ、2つのキャリアがまったく重ならないのも事実。そのため当初は、相乗効果を生み出すために、本業と副業を近づけた方がいいのではないか?と頭を悩ませたこともありました。しかし、今ではすっかり開き直りつつあります。
一人で2つのキャリアを有していること。これは今後、ますます働き方が多様化する社会において、将来の可能性は広がるのではないか?これから大手企業の副業解禁が進むのもきっとその追い風となる!と期待しています。
社会人としての2つの顔。やりがいの掛け持ち
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本業では、私が手がけた部品を搭載した車が世界中を走っています。日系メーカーの車はもちろん、スポーツカーや高級外車にも使われています。自分の関わるビジネスの規模や、世の中への影響力の大きさを実感すると、本当に計り知れないものがあります。
確かに、理不尽に感じることも多く、成果が形になるまで苦労の連続です。うまくいくことの方が少なく、投げ出したくなる瞬間や「こんな仕事やめてやる!」と思うこともあります。
しかし、仕事が形になったときには言葉にしがたい誇らしさを感じます。自分が社会を動かす一人のビジネスパーソンであることを、確かに実感できる瞬間です。
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一方で、純粋に自分らしさを発揮できる場も確かに存在します。それが副業であるトラベルライターです。本業とはまったく異なる業界・世界ですが、とても刺激的で充実感があります。何より、自分のやりたいことに本気で打ち込み、自分を必要としてくれる人がいる――その実感が大きな喜びです。
本業と副業、この両輪こそが、今の自分を形作り、これから社会を歩んでいくために欠かせないものだと感じています。トラベルライターを始めて約2年、かつては白黒つけられない自分に苛立つこともありましたが、今ではようやくその状態を前向きに受け入れられるようになりました。
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SNSで誰もがつながれる時代。羨ましいと思う人もたくさんいます。しかし泥臭く理想を追求すれば、必ず自分なりの解を見つけることができるはず。私と同じく、理想を思い描いて葛藤している同世代の会社員へ、これから社会人になっていく学生のみなさんへ、一つのヒントを与えられたら嬉しいです。