こんにちは!オアハカ在住ライターのHISAKOです。
わたしがオアハカに惚れ込んだ理由のひとつが、この都市で生産される魅力的な陶器。オアハカでは村やつくり手ごとに異なる特徴の陶器がたくさん生産されており、陶器探しというテーマで旅をするのにもピッタリな場所です。
今回取り上げる「アツォンパ村」は、オアハカでも屈指の陶器生産地として知られています。いったいどんな場所で、どんな陶器を作っている村なのか、この記事で詳しく紹介していきます。
陶器好きにはたまらない!陶器の産地「アツォンパ村」ってどんなところ?
オアハカの中心街から約10キロメートル、北西方面に位置する「サンタ・マリア・アツォンパ村(Santa Maria Atzompa)」。スペイン語にはない発音が特徴的なこの村の名前の由来は、ナワトル語のAtl (水)、Tzontli (髪 / 頂上)、pan(場所)、つまり「水の頂上」を意味する言葉からきています。
「アツォンパ村」は、紀元前500年から紀元後800年頃に栄えていたサポテカ文明時代の中心地・モンテアルバンの衛星都市として設立された村で、この時代から陶器の生産が盛んな場所でした。
現在市内にあるメルカドやおしゃれなセレクトショップで売られている陶器は、その多くがここ「アツォンパ村」で生産されているもの。オアハカで陶器巡りをする上でも、欠かせない村なのです。
「アツォンパ村」でつくられているのはどんな陶器?
「アツォンパ村」ではいったいどんな陶器がつくられているのでしょうか。簡単にいえば、答えは「いろいろな種類があります!」。
かつて「アツォンパ村」の名産品といえば緑色の陶器が代表的な存在でしたが、いまでは緑色の陶器のみならず、素朴な素焼きのものからモダンなデザインが施されたものまで、さまざまな種類の陶器が生産されています。お皿、水差し、花瓶に土鍋まで、生活に欠かせないアイテムを見つけることができますよ。
また、メキシコの陶器は十数年前に陶器の制作過程で使われる鉛釉薬(えんゆうやく)の鉛溶出の問題が深刻化していましたが、現在は政府の介入もあり、鉛を含まない釉薬が導入されるなど徐々に改善しているとのこと。ただ、心配な方は釉薬を使わずにつくられた陶器を選ぶことをおすすめします。
作り手からも直接買える!おすすめの陶器工房をチェック
さて、ここからは「アツォンパ村」へ訪れる際におすすめしたいタジェール(工房)をピックアップして紹介していきます。
1. ルイス・ロペス(Taller Ruiz Lopez)
「タジェール・ルイス・ロペス(Taller Ruiz Lopez)」は、6人の姉妹が中心となって陶器をつくっているタジェールで、「アツォンパ村」を代表する場所のひとつでもあります。
作り手の一人、Rufinaさんに話を伺ったところ、現在はニューヨークなど海外にも取引先を持っているのだとか。オアハカ市内の飲食店でも、このタジェールでつくられたお皿や鍋を使っているレストランがいくつもあります。
このタジェールが国内外で注目されている理由は、ただ陶器が美しいということだけではありません。この工房の職人たちが主体となって燃焼プロセスの中で生じる環境への影響を減らす窯が開発され、村の陶器づくり全体に革新がもたらされたというのも、理由の一つです。
新たに開発された窯は、ガスとリサイクルされた食用油を使って陶器を焼くシステムなのだそう。このタジェールでつくられた平たいプレートは焼き色が素敵で、料理をただ盛りつけるだけでアート作品のような見た目に。
オアハカの陶器に興味のある方は、まずここのタジェールを訪れてみることをおすすめします。
・名称:Taller Ruiz Lopez
・住所:Corregidora 404, 2da Secc Sta Maria Atzompa, 71220 Santa María Atzompa, Oax.
・地図:
・営業時間:9:00~18:00
・定休日:なし
・電話番号:+529512107399
・公式サイトURL:https://tallerruizlopez.wordpress.com/
2. ビチューガ・ビグ(Taller de Escuela Ceramica Bichuga Bigu)
ユニークな陶器を求めているならここ。「タジェール・デ・エスクエラ・セラミカ・ビチューガ・ビグ(Taller de Escuela Ceramica Bichuga Bigu)」では、なんとこのタジェールの作家であるAdrianさんの“髪の毛”を利用した唯一無二の陶器がつくられています。
わたし自身も最初は髪の毛と聞いてビックリしましたが、まるで割れ目のようなデザインは、ほかの陶器には見られない仕上がりとなっていて、作品にとても深みがあるような気がします。
顔料を用いた色づけも特徴のひとつ。数ある陶器の中でも色鮮やかな水差しは、このタジェールを代表する作品です。
・名称:Taller de Escuela Ceramica Bichuga Bigu
・住所:Aldama 102-A Santa María Atzompa, 71220 Atzompa, Oax.
・地図:
・営業時間:10:00~19:00
・定休日:なし
・電話番号:+529512569461
3. ピタオ・コピチャ(Taller Artesanal Pitao Copycha)
村の中心地から少し離れた山の上。自然の中にぽつりと建った一軒家の工房「タジェール・アルテサナル・ピタオ・コピチャ(Taller Artesanal Pitao Copycha)」では、スモーキーな黒い色合いを特徴とする陶器がつくられています。
作家のFranciscoさんとその家族で経営するこの工房の奥には、受注品がぎっしりと並べられており、彼の作品の人気ぶりが伺えます。素朴なデザインのレストランウェアはもちろん、顔の形をしたちょっとシュールなカップや鉢植えにも注目したいところ。
また、陶器の価格を言い値ではなく、しっかりサイズを測って値段表を参照しながら提示してくれるのも、個人的に安心できるポイントでした。
・名称:Taller Artesanal Pitao Copycha
・住所:Tulipanes s/n, Forestal, 71220 Santa María Atzompa, Oax.
・地図:
・営業時間:9:00~16:00, 土曜日のみ9:00~15:00
・定休日:日曜日
・電話番号:+529512768480
・公式サイトURL:https://www.facebook.com/Taller-de-PITAO-Copycha-203249333360834/
「アツォンパ村」までのアクセス
オアハカ市内から「アツォンパ村」までは、コレクティーボと呼ばれる相乗りタクシーに乗って行くのが一番簡単。
アツォンパ行きのコレクティーボはアバストス市場北側のバレリオ・トルハノ通りにあるタクシー乗降場で拾うことができます。「Santa Maria Atzompa」とフロントガラスに書かれたタクシーを見つけて、村に行きたい旨を運転手に伝えましょう。
コレクティーボは「アツォンパ村」のリベルダー通りを走るため、目的地に近くなったら降ろしてもらいます。金額は2021年6月現在で片道10ペソ。もし目的地が決まっていて、直接その目的地に向かいたい場合は通常の黄色いタクシーを配車するのが安心です。
オアハカの陶器を探しに「アツォンパ村」へ
陶器好きを魅了する「アツォンパ村」。オアハカ旅行のお土産としてもピッタリな陶器を探しに、一度訪れてみてはいかがでしょうか。
All photos by Hisako Tanaka