ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

旅から帰ると、スマホの写真フォルダを見返すのが好きです。

「あのお店、居心地よかったな。」
「市場の空気、活気があったな。」
「夕方の風が気持ちよかったな。」

写真を見返していると、そのとき感じた空気まで思い出して、もう一度旅をしているような気分になります。

そんなある日、自分が毎回似たような写真ばかり撮っていることに気がつきました。

ご当地グルメ、路地裏や街並み、その土地らしい海や山、そして夕日。

最初は自分でも「好みがわかりやすいな」と思っただけでした。

でも、お気に入りの写真を並べて眺めているうちに、あることに気づいたのです。

写真が気づかせてくれた”わたしの心”

私が撮っていたのは、ただの景色や料理ではありませんでした。

自分の心が動いた瞬間だったのです。

旅先では、その土地ならではの景色に出会います。でも、同じ場所を訪れても、人によってシャッターを切るものは違います。

建築物を撮る人もいれば、人の笑顔を撮る人もいる。自然や食べ物ばかり撮る人もいる。

その違いは、写真の好みだけではないのかもしれません。

何に惹かれ、何を美しいと感じ、どんな時間を心地よいと思うのか。

写真には、その人自身の価値観が映し出されているのだと思ったのです。そして、その価値観は、どんな生き方をしたいのかにも、静かにつながっているのではないでしょうか。

ご当地グルメ|惹かれていたのは「その土地の日常」


旅先では、ご当地グルメを見つけると、つい写真を撮ってしまいます。

でも、あとから思い出すのは料理の味だけではありません。

屋台から立ちのぼる湯気や、市場の活気、店員さんとお客さんが交わす何気ない会話。

料理の写真を見ているのに、思い出すのはその場所に流れていた空気です。

観光客向けのお店ももちろん楽しいけれど、地元の人が通う食堂や市場で食事をすると、「その街の日常」に少しだけ混ざれたような気持ちになります。

私が惹かれていたのは、単においしい料理そのものではなく、その土地で当たり前に営まれている暮らしだったのだと思います。

路地や街並み|好きだったのは「暮らしの気配」


旅先では、気づけば路地や街並みの写真もたくさん撮っています。

窓辺の植物や洗濯物が揺れる細い道。誰かの家のテラスに無造作に置かれた椅子やテーブル。

あとから見返すと、「なんでこれを撮ったんだろう」と思う写真もあります。でも、不思議とそういう写真ほどお気に入りになっていました。

そこには、その街で誰かが暮らしている気配があるからです。

有名な観光地は、その街を代表する景色かもしれません。でも路地には、その街で毎日を送る人たちの生活が垣間見れると思うのです。

「ここで朝を迎えたら、どんな一日になるんだろう。」

そんなことを想像しながら歩く時間が、私は好きでした。

惹かれていたのは、美しい街並みだけではなく、そこに流れる暮らしだったようです。

海や山、その土地らしい自然|心が動いたのは「余白のある時間」


海や山、湖など、その土地らしい自然に出会うと、私はよく立ち止まります。

もちろん景色がきれいだからでもあります。

でも、景色だけよりも、誰かがその景色の中で過ごしている瞬間を待つことがよくあります。

海辺で本を読む人や湖に飛び込んではしゃぐ子どもたち、芝生で昼寝をする人やベンチで景色を眺めながら話す夫婦。

誰も急いでいないし、何かを頑張っているわけでもない。
ただ、それぞれがその時間を楽しんでいる。

そんな風景を見るたびに、肩の力がふっと抜けるような気持ちになります。

私は自然が好きなのだと思っていました。でも、本当に惹かれていたのは自然そのものではなく、その場所に流れる「余白のある時間」だったのかもしれません。

夕日|撮っていたのは「立ち止まる時間」


そして、旅に出るたび撮ってしまうのが夕日です。

夕日がきれいだから。

もちろんそれもあります。

でも、それ以上に好きなのは、夕日を前に流れる時間です。

写真を撮る人。静かに空を眺める人。アペロ(食前酒)を楽しみながら一日の終わりを過ごす人。

さっきまで賑やかだった場所が、少しずつ穏やかな空気に包まれていく。

その景色を見ていると、「立ち止まること」そのものが、とても豊かな時間に思えてきます。

私がシャッターを切っていたのは夕日ではなく、そんな時間だったのでしょう。

旅は、自分の価値観を教えてくれる


旅の写真フォルダを見返していて気づきました。

私が撮っていたのは、単に「行ってきた場所」ではありませんでした。

市場の活気や暮らしの気配が残る路地、自然の中でゆっくり過ごす人たちや夕日を眺めながら一日を終える時間。

どれも、自分の心が動いた瞬間ばかりでした。

旅は、非日常を味わうものだとよく言われます。もちろん、それも旅の魅力です。

でも私にとって旅は、それだけではありませんでした。

何に惹かれるのか。

どんな空気を心地よいと感じるのか。

どんな時間を幸せだと思うのか。

旅先で何度もシャッターを切ったものを振り返ると、自分でも気づいていなかった価値観が、少しずつ浮かび上がってきます。

そして、その価値観は、「どんな人生を送りたいのか」「どんな生き方を大切にしたいのか」と、きっとつながっています。

だから私は、旅は自分探しをするものではなく、自分の取扱説明書を少しずつ集めていく時間なのだと思っています。

もし今、旅の写真フォルダを開くことがあれば、「どこへ行ったか」ではなく、「何を撮っていたか」にも一度意識を向けて眺めてみてください。

そこには旅の思い出だけではなく、あなた自身が何に心を動かされ、何を大切にしたいと思っているのか、そのヒントがきっと写っているはずです。

All photos by Saeno

ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

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