ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

こんにちは。現在ポルトガル領アゾレス諸島に在住のYuです。北アメリカとヨーロッパの間、大西洋の真ん中に位置し、その手つかずの自然の美しさから「地球最後の楽園」という呼び名のある「アゾレス諸島」。

そんなアゾレス諸島内で、1番の大きさ・人口で、最も栄えている島でもあるサンミゲル島には、美しい南国温泉リゾートがあります。日本ではもちろん、ヨーロッパの中でも知名度がとても低いのですが、温泉のスケールや美しさ、ホテルや街自体といい、本当に最高だったんです!今回は、この温泉リゾートを全力で紹介したい理由をご紹介します。

サンミゲル島とは?


photo by Yu

全9島で構成されるアゾレス諸島の人口の半数以上が集中する、諸島中心の島が、サンミゲル島です。島内最大の街「ポンタ・デルガーダ(ponta delgada)」には各国から飛行機が到着し、一年中旅行者で賑わっています。


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ヨーロッパで唯一のお茶の栽培地でもあり、温暖な気候からパイナップルやパッションフルーツなどの果物栽培も盛ん。海・山・湖など自然も豊かで、マリンスポーツをはじめ、ハイキングやバードウォッチングなど、アウトドア愛好者からも人気のある島なんです。

そんなサンミゲル島の中心都市「ポンタデルガーダ」や空港から、車で約40分で行けるところにある「フルナス」という街に、今回紹介する温泉リゾートがあります。

絶対に泊まってほしいTerra Nostra Garden Hotel


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空港から街に近づくと、山の間からモクモクと湯けむりがあがっている風景が見えてきます。そう、この町は温泉地。私が行ったのは秋だったので、紅葉と湯けむりとあいまって日本にいるような錯覚に陥りました。

広大すぎる露天風呂が最高


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この街にはいくつかの温泉リゾートホテルがありますが、ぜひこちらの「Terra Nostra Garden Hotel」に泊まってみてください。絶対に後悔はしません。


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このホテルに隣接する「Terra Nostra Park」は18世紀にアメリカ人移住者によって作られた、歴史ある公園。その公園内にある、こちらの広大な温泉がこちらです!

全長何百メートルもあるであろう、この圧巻のスケール感。この公園を作ったアメリカ人移住者が持ち込んだ、北アメリカ原産の木々に囲まれた温泉は、上空を遮るものがないため、広大な空を仰ぎ見ながら悠々と温泉に浸かることができます。

通常、この公園に入場するには大人一人8ユーロ、営業時間は10:00~18:00までなのですが、Terra Nostra Garden Hotelの宿泊客は無料でいつでも入場・温泉へ入ることが可能に。ホテルの中庭と公園はつながっているため、ガウンを着たまま移動できます。


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温泉中央部にある小島では、人々がくつろいでいます。ちなみに、温泉の水量は身長156センチの私のあご下くらいまでで、深め。お客さんは温泉に浸かるというよりは泳いでいる人も多く、また、日本の温泉とは違い水着を着て入ります。

水着に温泉の色がついて、すぐに手洗いしましたが落ちなかったので、お気に入りの水着は着ないほうがいいでしょう。

私は日中と夜も行ったのですが、夜はほぼ照明がないため真っ暗で人もまばらで、静寂の中星空を見ながら入る温泉は格別のひとときでした。

リゾート感満載の南国露天風呂が最高


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こちらは、同じ公園内にある小さめサイズの温泉です。アゾレス原産の植物や木々に囲まれた露天風呂は、南国情緒たっぷり。

湯温は38度前後と、ぬるめでゆっくりと長湯ができるのも魅力です。また、腰ぐらいまでの湯量なので、子供でも安心して入れます。3歳の娘もすっかりこの温泉が気に入り、朝も夜も温泉に行きとても楽しそうにしていました。


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日中は他のお客さんも多かったのですが、夜ご飯時の19:00~22:00ころは貸し切り状態で楽しめたので、他の人に気兼ねなくのんびりしたい方におすすめです!また、夜の静寂の中入ると、風で木々の葉っぱが揺れる音、小鳥や虫のさえずりなどが耳に心地よく響き、心身ともにリラックスできました。

ホテル情報・アクセス方法

1930年代に建てられたこちらのホテルは、ポルトガルのトラベル情報誌各紙でも「ポルトガルでナンバーワンのホテル!」という批評も多く見られるほど、評判の良いホテルです。

空港からはタクシーかレンタカーで45分、道中の牧草風景や、アゾレス独特の石造りの可愛らしい家並みを眺めていると、あっという間に着きました。この温泉リゾートのみの滞在ならタクシー、他の島内の観光地も見たい方は、レンタカーを借りることをおすすめします。

■詳細情報
・名称:Terra Nostra Garden Hotel
・住所:
・地図:
・アクセス:サンミゲル空港より、車で約45分
・電話番号:296 549 090
・料金:1部屋130ユーロ前後~(時期、部屋タイプにより異なる)
・公式サイトURL:https://terranostra-gardenhotel.com/?utm_source=google-my-business&utm_medium=organicsearch&utm_campaign=tngh_gmb

ホテルのポルトガルの朝ごはんが最高


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温泉もすっかり楽しんだ翌日は、まずはホテルの朝食会場へ。美しい中庭を眺めながら、ポルトガル式のブッフェが楽しめます。会場内に入ると給仕のおじさんがやってきて、ドリンクや卵料理の注文を聞きに来てくれます。

ここでは、ポルトガル名産のオレンジを使った生絞りジュース、コーヒー、ハムとチーズ入りのオムレツを頼みましたが、どれも格別の美味しさでした。

 

あまり知られていませんが、ポルトガルのペイストリーやパンは種類もとても豊富。日本人にも馴染みやすいちょうど良い甘さや塩気で、とても美味しいんです。

こちらの朝食ブッフェでも、大きなテーブル1台ごとさまざまな種類のパンが並べられていて、目移りしてしまいました。いろいろな種類が試せるように、サイズがどれも一口サイズに作られているのも嬉しいポイントです。


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写真左は「パステル・デ・ナタ」という、サクサクのパイ生地にカスタードクリームをたっぷり詰めて焼き上げられた、ポルトガルの銘菓。もともと一口サイズのお菓子ですが、こちらではさらに小型サイズに作られていて、見た目も可愛く味もカスタードクリームがとてもなめらかで、サクサクのパイ生地との相性といい、最高でした。

写真右は、シナモンシュガーが巻き込まれた、シナモンロールのような味。甘すぎず、サイズ感もちょうどよくとても美味しかったです。


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写真左は「Pão de Deus」という、直訳すると「神のパン」という意味のパン。ポルトガル本土で「Pão de Deus」というと、ブリオッシュのようなバターがたっぷりで、ココナッツやレモンがトッピングされた菓子パンが多いのですが、こちらはとうもろこしのような優しい甘みを感じる、シンプルなパンでした。アゾレス諸島ではこのスタイルが一般的なのかもしれません。


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焼き立てバゲットなども並んでいますが、ここで絶対に試すべきは「Bolo lêvedo」という、アゾレス諸島名産のパン。アゾレス諸島内各地で見られるこのパンは、小麦粉・卵・水・砂糖・イースト・塩・バター・牛乳とシンプルな材料ながら、フワフワで優しい甘みのある味わいです。

このパンを取っていると給仕のおじさんがやってきて、「これにはジャムやバターも合うけど、おすすめはチーズとハチミツをかける組み合わせだよ」と教えてくれました。早速試してみましたが、本当に相性抜群で感動する美味しさでした。

ポルトガル本土でもなかなかお目にかかれないパンで、本土からやってくる旅行者にもファンが多く、帰国日には大量にこのパンをお土産として買っていく人も多いそう。島内のベーカリーをはじめ、スーパーや空港でも購入可能なので要チェックです。


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そして、こちらの写真左はポルトガル名産の「ケージョ・フレシュコ」という、牛や羊のミルクから作られた、ポルトガル名産のチーズです。朝鮮アザミのおしべの凝固剤で固められたチーズは、真っ白でフワフワ。お豆腐のような食感かつクセもなく、塩味も極力抑えられているので、ミルクそのもののやさしい味わいが楽しめます。

ちなみに、「フレシュコ」とは「新鮮」という意味で、その名の通り長期間の保管ができないため、現地でしか食べられない特別なチーズ。アゾレス諸島をはじめ、ポルトガルに行った際には、ぜひ試してみてくださいね!

こちらの朝食はホテル宿泊者へのサービスですが、もし朝食だけ食べに行きたい!という方は、ホテルへ直接問い合わせてみてください。ポルトガルでは、たいていどこのホテルでも食事料金を支払えば、朝食サービスを受けられるので、問い合わせてみる価値ありです。

■詳細情報
・名称:Terra Nostra Garden Hotel
・住所:
・地図:
・アクセス:サンミゲル空港より、車で約45分
・電話番号:296 549 090
・料金:1部屋130ユーロ前後~(時期、部屋タイプにより異なる)
・公式サイトURL:https://terranostra-gardenhotel.com/?utm_source=google-my-business&utm_medium=organicsearch&utm_campaign=tngh_gmb

のんびり楽しむ庭園散策が最高


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朝食後はそのまま中庭から出て、隣接のTerra Nostra Park内を散策。季節の花々や木々、美しく整備された池など、歩くだけで癒やされます。


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公園はとても広く、全部周るには2~3時間は必要。私たちはあえて地図は見ずに、気になる方向へ好きなように歩きました。ふと横道を抜けると、このような美しい並木道に出会えたり、竹林に遭遇しました。

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日本でも馴染み深い竹林をはじめ、モミジやツツジの花、また、私たちが行ったのは秋ごろでしたが、アジサイもまだ見られました。木々の紅葉とも相まって、まるで日本にいるかのような錯覚に。

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トロピカルな雰囲気の並木道も素敵です。


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公園内には美しく整備された池に鯉や鴨がいて、エサをあげられました。私たちは午前中の2時間ほどを公園内の散策にあてましたが、湯上りにのんびりと散策するのもよさそうです。

■詳細情報
・名称:Terra Nostra Park
・住所:
・地図:
・アクセス:サンミゲル空港より、タクシーかレンタカーで45分
・電話番号:296 549 090
・公式サイトURL:https://terranostra-gardenhotel.com/onde-estamos.php?utm_source=google-my-business&utm_medium=organicsearch&utm_campaign=parquetn_gmb#

温泉街のローカルグルメが最高

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ランチやディナー時におすすめなのが、こちらの「Tony’s」というレストラン。ホテルやタクシーの人、近隣の商店の人におすすめのレストランを聞いたのですが、全員口をそろえて「Tony’sがこの街でナンバーワン!」と言っていたので、ランチに行ってきました。

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こちらのレストランの名物料理は、「コジード・ダス・フルナス」というポルトガル版ポトフのようなもの。「コジード」はポルトガル各地で食べられる、豚肉・牛肉・鶏肉・ソーセージと野菜を煮込んだ定番料理なのですが、このフルナス版コジードの何が特別かというと、調理法にあります。

大きな鍋に具材をすべて入れ、それを鍋ごと土の中へ入れ、そのまま5~6時間ほど温泉の地熱を利用してじっくりと火を通します。具材にまず欠かせないのは、モルセラというブラッドソーセージ(血のソーセージ)。黒い色の小型ソーセージは、独特の風味があり好き嫌いが分かれる味ですが、こちらのモルセラは、クセも強くなくとても美味しかったです。

一緒に煮込まれたさつまいもやキャベツ、ケールなどの野菜も、素材の甘みがこれでもかと引き出されていて、感動する美味しさでした。量はかなり多いので、2~3人でシェアするのがおすすめです。

■詳細情報
・名称:Tony’s Restaurant
・住所:Largo do Teatro 5, 9675-036, Furnas
・地図:
・アクセス:Terra Nostra Park、またはTerra Nostra Garden Hotelより徒歩7分
 ・営業時間:12:00~16:00、18:00~21:30
・定休日:なし
・電話番号:296 584 290
・公式サイトURL:http://restaurantetonys.pt/

サンミゲル島・フルナスへのアクセス方法

日本からサンミゲル島へのアクセスは、まずはヨーロッパの都市を経由しリスボンへ。そして、リスボンからサンミゲル島のポンタデルガーダ空港へ行く方法が一般的です。

また、隔日ではありますが、ヨーロッパの主要空港やアメリカのボストン空港やカナダのトロント空港からも、ポンタデルガーダへ直行便が出ています。

ポンタデルガーダ空港へ着いたら、タクシーかレンタカーで40分の距離にフルナスがあります。サンミゲル島内には見どころがたくさんあり、それぞれの場所が離れているので、フルナス以外も観光したい方は、レンタカーをおすすめします。

■詳細情報
・名称:フルナス
・地図:
・アクセス:ポンタデルガーダ空港より、タクシーかレンタカーで約40分

大西洋の秘境で心も身体も癒やされよう

日本では全く知名度のないサンミゲル島の温泉リゾート。サンミゲル島には、ヨーロッパや北米各地から直行便が飛んでいるので、日本からも時間はかかりますが、意外と手軽にアクセスできます。また、海外在住で次のバケーション先を探している方々にも、おすすめの穴場スポットなんです。

海外の温泉というと、屋内の温水プールのような施設が多い中、こちらの温泉は美しい自然を眺めながら入れる露天風呂というのが嬉しいところ。また、ホテル内にはマッサージ施設や、サウナ、美味しい食事が楽しめるレストランやバーなどもあり、日本の温泉施設のようにホテル滞在自体を楽しめます。

ぜひこの大西洋に浮かぶ美しい島で、心も身体も癒やしに行ってみてください。

ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

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