あなたが旅に出るとき、何を求めて旅に出ますか?
きれいな景色が見たい、おいしいものが食べたい、自然に触れたい、世界遺産が見たいーー
旅に出る理由は人それぞれですが、多くの方が何かしら「目的」を持って旅に出るのではないでしょうか。
でも、旅を振り返ってみると、一番心に残っているのはその「目的」以外の瞬間だったこともあります。
この記事では、学生のころに友人と訪れた南米の旅で体験した「心が動いた瞬間」についてお伝えします。
絶景だけじゃない、心が動いた瞬間
ペルーのマチュピチュやクスコなどの旅を経て向かったのが、ボリビアにあるウユニ塩湖。
「死ぬまでに一度は見たい景色」というワードでもおなじみで、日本でもCMのロケ地に使用されたこともある場所です。
実際にその場に立ってみると、想像を超える景色が広がっていました。どこまでも続く白と青の世界。星空ツアーでみた、360度どこを見てもキラキラと輝く景色。時間の経過によって目に映る色の世界が変わっていく感覚。
まるで別世界にいるかのような感覚になる日の出の景色
この目で見られてよかった、そしてまた行きたいと思える体験で、今も特別な場所として記憶に残っています。
ただ、この旅で心が大きく動いたのは、絶景だけではありませんでした。
同じツアーに参加していた人たちと、帰国後もご飯に行けるような仲になったり、ツアーを担当してくれた運転手さんと仲良くなっていろんな話をしてみたり。
出発前の目的は「あの絶景を見ること」だったのに、気づいたらいろんな人との関わりのなかにも、じんわりと心が動く出会いがいくつもありました。

ハプニングを経て受け取った、思いがけない温かさ
特に印象的だったのは、ウユニの町から首都ラパスへ戻るときのこと。
バスに乗って4時間ほど経ったあたりで急にバスが停まり、降りるように言われました。よくわからないまま降りると「タイヤがパンクしたからもう動かない」とだけ言われ、途方に暮れたわたしと友人。
当時は、現在と違って配車アプリや地図アプリも当たり前ではありません。自分が今どこにいるのかもわからず、通りすがりのタクシーに乗ることも避けたい地域。運よく乗合バンが数台来たので乗ろうと思っても、目的地のバスターミナルまで向かう車がどれかわからない状況でした。
そんなときに手を差し伸べてくれたのが、同じバスに乗っていた外国人の方。スペイン語と英語を交えながら会話をしつつ、バスターミナルまで一緒に行こうと声をかけてくれました。
目的地の近くでバンを降りてターミナルまで一緒に向かう間、どんな会話をしたのかはっきりとは覚えていません。でも、隣で一緒に歩いた道の景色は、今でも覚えています。
無事たどり着いたラパスの街
別れたあともしばらく見守ってくれていたようで、椅子に座って休憩していると「大丈夫?」と声をかけに戻ってきてくれました。ターミナルまで連れてきてくれただけでなく、その後のことまで気にかけてくれる優しさに、胸が熱くなりました。
言葉も国籍も違う、名前も知らない方に手を差し伸べてもらったこと。想定外のことや長距離移動の疲れも重なって不安でいっぱいだったときに、その温かさがとても嬉しく救われた、忘れられない出来事でした。
旅のおもしろさは、予想外のところにもある
旅では、思いがけない瞬間に感情が動くことがあります。それは偶然出会ったすてきな景色かもしれないし、思いがけないハプニングのなかで受け取った誰かの温かさかもしれません。
この南米旅ではさまざまな人との出会いに恵まれました。このボリビアでの体験だけでなく、ペルーの各地で出会った方、お世話になった宿のオーナー、道でおすすめのカフェを教えてくれた方ーー

いつもと違う場所で誰かと言葉を交わす。それは言葉だけでなく心も交わす瞬間でもあるのかもしれません。
景色は写真を見返せばよみがえることも多くあります。でも感情は、記憶が頼り。それでもあの体験を同じくらい鮮明に覚えているのは、それだけ心が動いた瞬間だったからなのだと思います。
旅が好きな理由を聞かれると、きれいな景色やおいしい食べもの、非日常感と、いくつも浮かびます。でもじつは、その根っこには「思いがけず出会う心の動き」を求めているのかもしれません。
All photos by yuri