「あべちゃん、今度ポルトガルに行かない?かわいい街並みやおいしいワインがあるよ!」そう友人からのお誘いを受けた、私・阿部サキソフォン。一度訪れたことがあるポルトガルですが、観光したのはリスボンのみ(滞在は1日)だったので、光の速さで「行きたいっす」とお返事をしました。
今回訪れたのは首都のリスボンに加え、ポルト・オビドス・コインブラ・ナザレ・エヴォラといった地方都市。金平糖とポートワインくらいしか知識がなかったわたしも、旅をするうちに少しずつポルトガルがどんな国なのか見えてきました。
これを知っていれば、より旅を楽しめる!ポルトガル観光をする上で大切な「キーワード」を集めたので、ぜひ参考にしてください!
栄華を極めた「大航海時代」
▲300年以上かけて建設されたジェロニモス修道院
ピチピチの高校生だったあの頃、世界史で「大航海時代」について学んだのを覚えていますか?ヴァスコ=ダ=ガマやマゼラン、コロンブスらが世界を旅して新たな大陸を発見していった時代です。そもそも、なんで大陸探しが始まったんだっけ……というあなたのために、さくっと歴史を振り返ってみましょう。
紀元前にはローマ人が半島を占領。その後イスラム圏のムーア人が侵入し、たった4年で支配されてしまいます(このときに造船技術を学んだことが、大航海時代にもつながります)。8世紀から国土回復運動(レコンキスタ)が発生し、1139年にはポルトガル国王が誕生しました。
▲「発見のモニュメント」の足元には世界地図が描かれている。
レコンキスタが完了すると、領土拡大を目指してアジア・アフリカへ船を出したのです。その先陣を切ったのがエンリケ航海王子。いっちょまえに航海王子というかっこいい名前がついていますが、本人は船酔いがひどく航海に出たことはなかったそう。
バルトロメウ=ディアスは喜望峰に到達し、その後ヴァスコ=ダ=ガマはインドに到達。その偉業をたたえて、今はリスボンの観光スポットになっているジェロニモス修道院やベレンの塔が建てられました。香辛料などの貿易で成功し、ポルトガルは栄光の時代を迎えます。
大航海時代に関わる多くの偉人の姿を、テージョ川のそばにある「発見のモニュメント」で確認できます。西側と東側、それぞれ異なる人が描かれています。クラスの男子が肖像画に落書きしていたであろう、日本でおなじみのザビエルさんもいました。
足元の世界地図には、ポルトガルが各国を発見した年が記されています。歴史の知識が少しあるだけで、観光スポットを訪れたときの感動が変わってきませんか?
ポルトガルのお菓子といえば「エッグタルト」
ポルトガルにきたら絶対に食べてほしいお菓子が、パステル・デ・ナタ!日本語では「エッグタルト」と訳されます。サクサクのパイ、そして中には卵の黄身を使った甘〜いクリームがたっぷりと入っています。
ポルトガルのお菓子を代表するエッグタルトは、「修道院菓子」のひとつ。かつて修道院では、卵白を服の糊づけに使用しており卵黄だけが大量に残っていたといいます。使い道に困っていた卵黄をお菓子づくりに利用したことから、修道院菓子が生まれました。
一番有名なエッグタルトのお店は、ジェロニモス修道院近くにある「PASTÉIS DE BELÉM」。1837年創業の老舗で、連日多くの観光客が訪れます。お店の入り口にいつも人だかりができているので混雑しているように見えますが、奥に席がたくさんあるのでほとんど待たずに入店できます。
そのままでもおいしいエッグタルトですが、さらにシナモンをかけて食べるのがポルトガル人の通な食べ方なんだとか。
現地に住む方によると、パステル・デ・ベレンと同じくらい人気のお店があるのが、ここ「MANTEIGARIA」です!ポルトの店舗にお邪魔してみると、朝ごはんに買いに来る地元民がたくさん。
カウンターでエスプレッソと一緒にいただくのが地元流らしいので、真似してみました。んんん、こっちも負けず劣らずおいしい!濃厚すぎない自然な甘さで、ぺろりと食べられちゃいます。ポルトガルには数多くのエッグタルト屋さんがあるので、ぜひ食べ比べしてみてくださいね!
ポルトガルの国民食「バカリャウ」
次にご紹介するキーワードは、初耳の人も多いはず。「バカリャウとはなんぞや」って感じですよね。事前準備を何もしないでポルトガルに行った私も、全く同じ状態でした。レストランでやたらと聞く「バカリャウ」という言葉。実はこれも、ポルトガルに欠かせないものの一つなんです。
気になるバカリャウとは、干し鱈(たら)のこと。塩で漬け込んだあとに乾燥させ、調理するときには水に漬けて戻して使います。コロッケに入れて揚げたりスープに入れて煮込んだり、使われる料理はさまざま。
ポルトガル滞在中は、きっといろんな場所で国民食を見かけることになると思います。そうそう、バカリャウには白じゃなくて赤ワインを合わせるんだって。
お店ではカッピカピに乾燥した大きなバカリャウが、山積みになって売られています。日本まで持ち帰れないことはないですが、スーツケースの中ですごい匂いを発するかも……。
日本でもバカリャウを味わいたいという人は真空パックになったものか、缶詰を購入するのがおすすめです。
ポルトガルのお土産として人気の缶詰は、どれもデザインがかわいいものばかり!約2ユーロ〜とお手頃価格なので、あれもこれもとたくさん買い込んでしまいそう。あーーーもっと買えばよかったなあ……なんて、今更後悔しているわたし。
「ワイン」はEUで摂取量1位!
ポルトガル人はとにかくワインが大好き。一人当たりの摂取量はEU加盟国のなかで1位、世界で4位というデータもあり、食事の席には必ずと言っていいほどワインが登場します。仕事終わりの夜に、ワインをたしなむ?いやいや、夜までなんて待てません。レストランでは、昼間からワイン片手に食事を楽しむ方の姿を見かけます。
こちらの「緑のワイン」といわれるヴィーニョ・ヴェルデは、ミーニョ地方で作られている微発泡のワイン(見た目が緑ってわけではないのです)。6〜7月に収穫する早熟なぶどうを使っていて、爽やかな味は暑い夏にぴったりです。アルコール度数もそこまで高くないので、お酒に強くない人でも楽しめます。
そしてポルトガルのワインといえば、「ポートワイン」は外せません。発酵の途中でブランデーを加えて糖分がアルコールに変換するのをストップさせ、ぶどうの甘さを残したワイン。
日本でもポートワインを模したスイートワインが売られているのでご存知の方も多いと思いますが、まったくの別物!本物のポートはエレガントな甘さで、高貴なワイン、特別な日のワインとして愛されています。特に甘いワインを好むイギリスへ向けて、多くのポートワインが出荷されているそうです。
今回はポルトのワイナリーの中でも、唯一創業者からずっと家族経営を続けている「Taylor’s Port」を訪れました。併設するレストランは、ポルトでもっとも予約をとるのが難しいレストランのひとつ。ポートワインに合わせたコース料理をいただけます。
白のポートワインをトニックウォーターで割ったカクテルがとってもさっぱりとしていて、驚きのおいしさでした!予約をすれば、ワイナリーの中を見学することもできますよ。
ちなみに、スーパーではワイン1本3〜5ユーロという衝撃の価格で購入可能!安くておいしいワインがずらりと並んでいます。